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第583話

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葵は、遥がすぐ隣にいると言ったばかりだ。

これはまさにスターライトエンターテインメントの待ち伏せしなのだ。

月子は以前、遥の写真を見たことがあった。そして今日、初めて本人に会った。彼女は自分とは父親が同じの異母姉妹だ。ずっと姉だった月子にとって、自分より上の姉ができるなんて……その事実は受け入れたものの、実際に会うと、やはり心が激しく揺さぶられた。

洵がこれを知ったら、どんな反応をするだろうか、想像もつかなかった。

月子は平静を装っていたが、体の横に垂らした手が、いつの間にか握りしめられていた。

遥は月子より少し背が低く、腰まで届く黒髪ストレートのロングヘアーは、ツヤツヤと輝いていた。

淡いグリーンの体にフィットしたワンピースを纏い、落ち着いた雰囲気と知的なオーラを漂わせていた。

遥は、頭の先からつま先まで非の打ち所がなく、裕福な家庭で何不自由なく育ち、人生の困難にも直面したことがない、そんな印象を感じさせるような人だった。

こんな穏やかな人なら、誰からも好かれるだろう。

月子その瞬間、自分もこれまで苦労らしい苦労をしたことがなかったが、いくつかの挫折を経験し、それを乗り越えた今、自分の中に鋭い棘が芽生えているのを感じていた。

あるいは、それは自分自身は生まれながら性格で、抑えきれない本性なのかもしれない。

月子は現状に満足している人間ではなかった。彼女は、奪い、争い、様々なものを手に入れたかった。

そうして今の彼女がいるのだ。

だけど、月子は今の自分が好きだった。

そう思っていると萌が月子の耳元で囁いた。「彼女が遥さんですよ」

「分かっています」

「彼女がなぜ私たちを狙っているのか、理解できません。この前の引き抜きはたまたまだと思っていましたが……」

月子は冷静に言った。「私への当てつけですよ。彼女の隣にいる人、見ましたか?」

萌は、芸術家風の服を着た女性に気づいた。

「楓さんです。彼女は私の彼氏のことが好きなんです。嫉妬して、友達の遥さんに私たちを攻撃させているんですよ」

萌は驚いた。月子に彼氏がいた?

萌から見れば、月子はまるで仕事人間だった。芸能プロダクションの社長であるだけでなく、プログラマーでもある。詳しいことは聞いていなかったけれど、とにかく忙しそうだった。そんな月子が完璧な時間管理で二足のわらじを履きこなし、
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