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第825話

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洵がこれほど女をうっとうしく思ったことは、今まで一度もなかった。そして天音とは、できることなら関わりたくないと本気で思った。

そう思いつつも彼は何も言わず、天音を避けてベビールームに入ると、ドアを閉めた。

ベビールームは広かった。

ソファに座っている静真の姿が、洵の目に入った。スーツを着ていても、そのやつれた雰囲気は隠せていないでいた。だが、どんなにみじめな姿でも、相変わらず人を見下す傲慢な姿勢だった。

そして、洵は静真に近づくと、問答無用で彼の顔を思いっきり殴りつけた。

静真の顔を指さし、これにない鬼の形相で言い放った。「もし、これ以上姉さんを苦しめるなら、次は一発だけじゃ済まさないからな」

静真は、洵が肝の据わった若者で、同年代の誰よりも大人びていることを知っていた。

だが、静真が合図一つすれば、ボディーガードが洵を地面に押さえつけられる。自ら手を下さなくても、その勢いをくじくことなど簡単なことだった。

しかし、洵は月子が最も信頼する、一番身近な人間だ。

静真は目の奥に宿る冷たさを抑え、殴られて横を向いた顔を元に戻した。じんじんと痛む口の端を揉みながら、鼻で笑うと
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