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第831話

Author: おミカン
絵里は着信画面を見ても驚く様子はなく、二秒ほどためらってから通話ボタンを押す。

「どうしたの?」

「誰に会いに行くんだ?ボディガードは連れているか?」

裕也が気遣うような口調で尋ねる。

嘘をつくのが苦手な絵里は、前半の質問を意図的にスルーする。

「何人も連れてるわ。みんなあなたが厳選してくれた人たちだから、安心して。私なら大丈夫よ」

「夜も森田と食事するのか?」

彼がそれ以上追及してこなかったことで、絵里は密かに胸を撫で下ろし、少しだけ緊張を解く。

「ええ。ついでに今後の提携についても話し合おうと思って。私の意向としては、前にあなたが提案してくれたプランと同じで、水原と藤原が共同で彼と提携するのがいいと思うんだけど、どうかしら?」

この件に関して、絵里はこれまで彼に正面から意見を求めたことがなかった。

「その必要はない。特許はお前のものだ。今回は水原の名を広める絶好のチャンスだから、お前たちが組むのが一番ふさわしい」

彼が一度決めたら曲げない性格であることを絵里はよく知っている。そこまで言うならと、それ以上説得するのはやめた。

裕也の穏やかな声が再び耳に届く。

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