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第4話

Author: 匿名
私のこの冷たい態度が、彼を完全に怒らせた。

「一体何の機嫌を損ねてるんだ?何度説明すればいいんだ。優芽は帰国したばかりで知り合いがいない。俺しか連絡できる相手がいないんだ。俺を頼らなくて誰を頼るんだ?

陽太は子供だから機嫌を損ねるのは普通だが、お前はもういい大人だろ。なぜそんなに我儘を言い続けるんだ。

お前は一体どうしたいんだ?」

この言葉を聞いて、私はただ可笑しかった。

優芽は大人として、最低限の社交能力もないというのか。会社に知り合いの同僚が一人もいないというのか?

蒼介にしか連絡できないだなんて真っ赤な嘘だし、全ては下心があってのこと。男女二人きりで過ごすためだ。

蒼介が分かっていないふりをしているだけなのか、それとも本心で言ってるのか、それは恐らく彼自身にしか分からないだろう。

「私はただあなたと離婚したいだけよ。今すぐに」

私は静かに答えた。

蒼介は言葉に詰まった。

優芽がこの時、私が墓地に置いたまだ埋葬していない骨壺に目を留め、それを手に取った。

「蒼介さん、ココをここに埋葬したいわ」

それから優芽は視線を私に戻し、その顔には笑みを浮かべていたが、まるで冷たい毒蛇に見つめられたかのように、私は全身が凍りつくような感覚に襲われた。

「遥さん、私のココは死んだのよ。わざわざ偽物の骨壺なんて持ってきて墓地を占領して蒼介さんの気を引こうだなんて……ココは生きていた命なのよ。

来世でいい人生を送れるように、この墓地はココに譲ってちょうだい」

この墓地は、私が特別に選んだ最も日当たりのいい場所だ。来世では陽太が健康で幸せに暮らせるように。

優芽が奪おうとするなんて、私が許すはずがない。

怒りに任せて優芽を押しのけ、骨壺をしっかりと抱きしめた。

「私の骨壺に何で触るの!この土地は私が買ったものよ。他の場所を探しなさい。私の前で目障りなことしないで!」

優芽は私に押されてよろめいた。蒼介は咄嗟に優芽を支え、私に向かって怒鳴った。

「遥、不満があるなら俺に言え。優芽に当たるな!そのボロ骨壺とお前に何の関係がある?宝物みたいに庇って何を馬鹿なことしてるんだ!

すぐに優芽に謝れ。墓地も譲れ。離婚で脅すのはもういい。こんな手段で俺の気を引こうとするな」

ここまで来ても、蒼介はまだ私が偽物の骨壺を持ってきて、彼の前で優芽と張り合っているだけだと思っている。

そして私の可愛い息子は、死んでなお実の父親からこんな侮辱を受けている。

昔の自分は、どうして見誤ってこんな男を好きになったのか、本当に分からない。

「蒼介、私は脅してなんかいない。絶対にあなたと離婚する。墓地も絶対に譲らない!」

蒼介は私のこの言葉に完全に怒り狂い、私が抱いている骨壺に向かって手を振り下ろした。

「まだ演技を続けるのか。中に何が入ってるか見てやる!」

私の瞳孔が収縮した。

「触らないで!」

だが蒼介の動きは速すぎて、避ける間もなく、骨壺は激しく地面に叩きつけられた。

中の白い粉がふわりと地面に散らばった。

私は絶望的に地面に膝をつき、必死に目の前の粉を集めようとした。

だが粉はとっくに土埃と混ざり合い、見分けがつかなくなっていた。

私の手のひらは地面を擦り続け、血が滲んでも止めることができなかった。一秒でも遅れたら、息子の遺灰が風に吹き飛ばされてしまうのではないかと恐れて。

優芽が横で皮肉を言った。

「遥さんのこの演技、本当に完璧ね」

蒼介も眉をひそめ、冷たく私を見下ろした。

「遥、小道具のためにここまでする必要があるのか?」

だが私は全く聞こえていなかった。ひたすら地面の粉を集め続けた。

遅れてきた罪悪感が蒼介の心に湧き上がったのか、彼は前に出て私を引き起こそうとした。

私の腕に触れる一秒前、墓地の作業員がようやく完成した墓石を運んできた。

「桐谷さん、息子さんの墓石ができましたよ。今から埋葬できます」
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