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再会した幼馴染は狂犬極道若頭になっていた上、なぜか私を飼い主と呼んで逃がさないのですが?~契約結婚から始まる極上溺愛~
再会した幼馴染は狂犬極道若頭になっていた上、なぜか私を飼い主と呼んで逃がさないのですが?~契約結婚から始まる極上溺愛~
Penulis: 影畑凛星

父の借金

Penulis: 影畑凛星
last update Tanggal publikasi: 2026-03-22 13:32:17

「黙って車に乗れ!!」

 言いながら、男は私をワンボックスカーの後部座席に押し込んだ。

 後部座席には工具が乱雑に積み上げられていて、おおよそ人間を載せるような状態にない。

 私は仕方なく、工具をかき分けて隙間に身をおさめるようにした。

「あ、あの……、これから、どこに行くんですか?」

「うるせぇ、黙れ! てめえ、聞ける身分だと思ってんのか!?」

「そ、そんな、だって、私……」

 私は怯えて身体を縮こまらせるしかなかった。

◇◆◇

 ――父の借金。

 私の自宅、狭いワンルームのアパートに彼らが踏み込んできて、私の腕をつかみながら話したのは、要はそういうことだった。

 もう何年もあっていない、幼い私と母を捨てて逃げた父。

 もう顔も覚えていないその男は、私を連帯保証人にして借金を重ねていたのだという。

「そんな! 私は何も知りません!」

 叫んだけど無駄だった。

 だって、踏み込んできた男たちはどう見ても堅気じゃない。

 服の袖からちらちらと覗く入れ墨。

 ぎざぎざに溶けた歯。

 まともな商売をしている男たちじゃないのは、どう見ても明らかだった。

「借金5億円、まとめて返してもらうからな!」

 私の腕をぎりぎりと持ち上げるようにしながら告げて来る男の言葉は、私を絶望に叩き落すには十分だった。

 5億円。

 何をしたって返せる金額じゃない!

 何をしたらそんな借金を作れるの!?

 だいたい、私みたいな、21歳の高卒フリーターの娘を連帯保証人にしたところで、そんな金額を貸すのはまともな金貸しのやることじゃない。

 つまりは最初から、彼らには借金を回収する気なんてなかったのだろう。

 だとしたら、抵抗しても無駄だ。

 痛い思いをさせられるくらいなら、従った方がまだいい。

 おとなしくなった私を、彼らは外に連れ出した。

 閉まるドアの隙間から、男たちが私の部屋を家探しし始めているのが見えた。

 ――バカみたい、そんなこと慕って無駄なのに。

 金目のものなんて何一つ持ってない。服だって、最低限を買い足すだけ。

 雑誌の着回し術を一所懸命立ち読みして覚えて、それを基にセール品を買ってまともな人間みたいな恰好で仕事に行く。

 私の部屋はそのためだけの場所で、現金もなければ、ブランドものも宝飾品もなにひとつない。

 アクセサリーは全部スリーコインズで買ったもの。二束三文でだって売れやしないだろう。

「ふふ、ふふふ、あはははは……」

 バカみたいな笑いが漏れた。

 男たちは気味悪そうにしながらも、私の腕を話すことなく、そのまま薄汚れたワンボックスカーに向かって言った。

 ◇◆◇

 ――どれだけ走っただろう。

 気がつくと、車はどこかの繁華街に向かっているようだった。フロントガラスには、灰色の汚れたビルが乱雑に立ち並んだ通りが見える。

「おい、降りろ」

 やがて車がそのうちの一つの横に止まって、私は後部座席から引きずり出された。

 非常階段みたいなところを上がらされ、ビルの中に押し込まれる。

 そこは何かの資材置き場みたいだった。

 段ボールや角材が積みあがっていて、明かりはあるけど、裸電球がぶら下がっているだけ。

「さーて、まずは商品を確かめねえとなア」

 男たちがニヤニヤと笑っている。

 これから何が始まるのなんか、言われなくたって分かっていた。

 どうしよう、とさえ思わない。

 だってこんなの……、どうにもできない。

 入り口には若い男が立っている。一番弱そうではあるけど、どう見ても私が敵う相手じゃない。

「大人しくしてろよ」

 男の手が私のシャツをまくり上げる。

 ――そのとき。

 ドカッ!

 聞いたことのないよな大きな音がした。

 見るとドアが開いていて、入り口にいた男が蹴り倒されている。

 男を足蹴にしているのは、長身の、スーツ姿の若い男性。

 赤みがかった茶色の髪、柔らかく輝くブラウンの瞳。

「俊くん……?」

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