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第332話

Author: 白川 露
一雄はわずかに眉をひそめた。浩一郎は聖奈に手を下したばかりだ。しばらくはその件を優先すると思っていた。

まさかこのタイミングで風香を呼び出し、そのうえ自分まで会社へ呼びつけるとは。あまりにも露骨すぎる……

ここまで露骨なら、気づかないはずがない。そう思うと、一雄は財務報告書を直哉に返した。「しまっておけ。今は必要ない」

「えっ?」

直哉はきょとんとした。「でも、さっき会長からこれを一雄さんに渡して確認してほしいと言われたんですけど……」

「本当に報告書が必要なら、わざわざ夜中に俺を呼び出したりはしないだろう」

一雄は冷ややかに笑い、そのまま踵を返して再びエレベーターへ向かった。

直哉も慌てて後を追った。「それじゃあ今から……」

一雄は上行きのボタンを押した。

エレベーターの扉が開き、乗り込むなり静かに言った。「会長室へ行く」

扉が閉まると、直哉は口を尖らせながら、ため息をついた。

会長室。

入る前に、中から浩一郎の笑い声が聞こえてきた。一雄はドアをノックし、返事を待ってから部屋へ入った。

風香の姿が目に入った瞬間、表情をわずかに曇らせたが、すぐに浩一郎へ向き直
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