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67・王妃になりたい女なのか、それとも?

مؤلف: 揚羽渓名
last update تاريخ النشر: 2026-08-16 19:30:30

そう思うのに、オズワルドはと言えば冷めた顔をして続きを話す。

「違うだろ。あいつはただ王妃になりたかっただけだ」

「そうかなぁ? それでどうなったの?」

「それでか? その時、隣国の王が丁度遊びに来ていてな。ジャンヌは一晩だけ王と寝て見事に妊娠した。だから王にそのままジャンヌを引き取ってもらったんだ。王はジャンヌの事を一目見てすっかり虜になっていたしな」

「それってさ、体よくその隣国の王様にジャンヌ様を押し付けたって、そういう事?」

「まさか。確かに俺はメイドから聞いてジャンヌの危険日を把握していたし、その日を狙ってここに王を呼んだが、別にどちらにも何も言ってない。その道を選んだのはあの二人だ」

「それ、ジャンヌ様は単純にあなたの事が好きでヤキモチか何か焼いてもらおうと思ってただけなんじゃないの……子どもが出来ないって怒るからには、多少なりともあなたに好意があったんじゃ?」

 それでうっかり妊娠してしまっただけなのでは? そう思わないでもないが、オズワルドはジャンヌが自分に好意を寄せ

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  • 冷酷王の知られざる秘密   103・好きになってはいけない

     心の中でずっと警鐘が鳴っている。この人は王だ。好きになってはいけないのだ、と。 それからしばらくして離宮に軟膏が届けられた。それを届けてくれたのはオズワルドの専属の執事さんだ。「本当に、本当に申し訳ありませんでした、ダリア嬢」 オズワルドの執事さんは初老のイケオジで、艷やかな黒髪をきっちりと後ろに撫でつけ、眼鏡の奥に少しだけ神経質そうな緑の瞳が光っている。「大丈夫ですから! それに誰のせいでもないって言うか、私が咄嗟に防御出来てれば問題無かったって言うか……」 そう、万が一の時の為に習っていた護身術を披露する間もないほど、私はここで気を抜いていたのだ。「防御? お前が?」 私の台詞にオズワルドが首を傾げて尋ねてくるので、私は深々と頷いた。「合気道習ってたからね! でもそんなのすっかり忘れてたよ……」「あいきどう? 何かよく分からんが護身術のようなものか」「うん。相手の力を利用して投げ飛ばす的な奴。投げ飛ばしたらすぐさま亀甲縛りだよ!」「お前は男を縛り上げる事に関しては引く程手際が良いからな。残念だったな、技を披露出来なくて」「ほんとだよ。そんな訳なので大丈夫です。軟膏ありがとうございます」 そう言って頭を下げた私を見て執事さんが少しだけ表情を緩めた。「王の言う通り、本当に普通に話しておられるのですね」「?」「気安いだろ? 記憶が無くなっているとは言えなかなかの態度だと思うんだ」「ですが王、ダリア嬢にお会いになられてからは以前よりも少しだけ取っ付きやすくなったと言われていますよ」「誰にだ」「使用人にでございます。私も嬉しゅうございます。世間で何と呼ばれようとも私達にとってあなたはあの地獄から救い出してくれた救世主ですから」「……大げさだ。仕事中にすまなかったな。戻れ」「畏まりました。それでは私はこれで失礼致します。ダリア嬢、お早い回復を祈っておりま

  • 冷酷王の知られざる秘密   102・気遣い

     声は出せなかったけれど心の中で呟いたその時——。 部屋のドアが勢いよく開いた。「ダリア!」「んん……?」 血相を変えて部屋に飛び込んできたのはオズワルドだ。 オズワルドは私の姿を見て一瞬顔を歪めたが、すぐに全ての表情を消して帯剣していた剣を抜いた。「ダリア、目を閉じていろ」 オズワルドはそれだけ言ったかと思うと、男たちに問答無用で斬りかかる。 オズワルドの言う通り私は急いで目を閉じたが、男たちの叫び声が耳にこびりつく。 しばらくして手足を縛っていたロープが解かれた。ついでに口のタオルも。「目を開けてもいいぞ」 オズワルドの言葉に私はゆっくりと目を開けてオズワルドを見つめると、涙が頬を伝う。そんな私を見てオズワルドは眉根を寄せて私を抱きかかえた。「あの人達は?」「運び出した。今から尋問だ」「殺してない?」「ああ。大切な証人だからな。だが、その後は死罪だ。俺の物に手を出した罪は重い」「うん」 オズワルドの物。何だかその一言が嬉しくて私はオズワルドに抱きつこうとしたけれど、生憎力が入らない。「酷いな」「うん……せっかく綺麗にしてるのにな」「全くだ。毎日毎日念入りにマッサージをしてオイルを塗り込んでいるのにな」「ほんとだよ……見て、アザだらけ。顔もでしょ?」「ああ。だが、湿布でも貼っていればすぐに案外可愛いお前に戻る」 冗談めかしてそんな事を言うオズワルドに、私は少しだけ笑ってしまった。 怖かった。痛かった。オズワルドは私が本当はそう思っている事もきっと知っている。 けれどこうやってわざと私に合わせて茶化してくれているのだろう。 殴られる事も蹴られる事も前世で慣れている。それでも怖かった。だからもう思い出したくない。 私がオズワルドの胸

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  • 冷酷王の知られざる秘密   99・独特の感性

    「お店の人、凄く緊張してたね!」 突然やってきたオズワルドを見て店員さんは可哀想なほど縮こまって震えていたのを思い出して言うと、オズワルドは真顔で頷く。「ああ。悪いことをしたな」「でもオズワルドにだってお菓子買う権利はあるからね! いつ誰が来ても良いように心の準備はしておかないと」「そういうものか?」「そういうものだよ!」 接客業をするのであれば、ある日突然王様がやってきたぐらいでビビっていてはいけない。それは接客業の極意のようなものだと私は思っている。 頷くオズワルドを横目に私がさっそく買ったばかりの焼き菓子を開けていると、オズワルドがそこから無言でクッキーを一枚抜き取って齧りだす。やはりオズワルドは結構甘いものが好きなようだ。 そうこうしているうちにようやく城に辿り着いた。 離宮は城の門をくぐり更に庭を迂回した場所にあり、高い壁に囲われていた。 馬車から降りた私は目の前に聳え立つ白亜の美しい絵画にでも出てきそうな建物と、それを取り囲む高すぎる壁を見上げて思わずため息を付く。「凄い高い壁……これ離宮じゃなくて要塞だよね?」「外から覗かれないようにとの配慮だそうだぞ」 冷たい声でそんな事を言うオズワルドに私は思わず首を傾げた。「昨日も言ったが、ここは俺の両親が使っていたんだ。元々は側室達の為に造られたらしいが、両親はここで自分たちの愛人を囲っていたんだよ」「ん? 両親の愛人? それってお互いの愛人が一つの離宮に住んでたって事?」「ああ。男も女も同じ場所で囲われてたんだ。間違いが起こらない訳がないと思わないか?」「思う」「その最たる間違いが俺だ。俺は離宮で生まれた。父親が王という事にはなっているが、本当の所は誰にも分からない」「え……もしかしてそれも有名な話?」「超がつくほど有名だな。誰も俺を王の子だとは思っていない。俺自身もな。だが俺は王に選ばれた。それは今が戦乱の世だったからに過ぎない」

  • 冷酷王の知られざる秘密   98・優しい人

    「分からない。俺は王だ。滅多な事では誰も信用しない。出来ない」 いつもよりも数倍冷たい顔でそんな事を言い放ったオズワルドの顔は、本当に冷酷王そのものだった。 けれどそうさせたのは他の誰でもない、周りの人間だ。 私はカクテルを手早く作り上げてオズワルドに一つ手渡して言う。「やっぱり狙われてるのって私とあなた?」「ほぼ間違いなく」「そっか……はぁ~……」「そんなに側室が嫌か? それとも相手が俺一人になるのが嫌なのか?」 怪訝な顔をしてそんな事を言ってくるオズワルドに私はすぐさま首を振った。「違うよ。むしろ最近はオズワルド以外と寝たいなんて思わなくなっちゃったよ。そうじゃなくて、身の丈って言うのかな。ついこの間まで街灯の下に立って客取ってたような奴がさ、いきなりお城での生活なんて出来る訳ないよね?」 規則正しくお上品に、が何よりも苦手な私だ。それはオズワルドも痛い程良く分かっているだろう。こんな私だから絶対にさっきのような事をしでかすに決まっている。「なんだ、城で暮らすのが嫌なだけか」 私の答えにオズワルドは何故か少しだけ表情を和らげて言う。「まぁ、そう」「自由人だもんな、お前。ではやはりお前は離宮に住むと良い。城の敷地内ではあるが城とは隔離されている。元は両親が使っていたんだが、そこなら誰にも干渉はされない」「でも命狙われてるんでしょ? 私。そんな所に一人で暮らしてて構わないの?」「別に一人で住めとは言ってない。俺もそこに移る。むしろ命を狙われている者同士、お前は唯一信頼出来る相手だ。そしてそれはお前にとってもだろ」「確かに」 絶対に安全なのは誰だと言われたら、同じ敵に命を狙われているであろう、オズワルド以外には居ない。「毎日一緒?」「ああ」「朝から晩まで?」「昼は流石に城で公務をするが、夜は離宮に戻る」 私はオズワルドをじっと見つめてもう一度大き

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