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第1190話

مؤلف: 木真知子
桜子は電話を切ることさえ忘れて、着替える暇も惜しんで走り出した。牢を破った小鳥みたいに、長い回廊を駆け抜け、閲堂園の門を飛び出す。

夜は深く、辺りはしんと静まり返っている。灯りはひとつだけ。

その下に、すらりとした男の影が立っていた。柔らかな光の輪郭に縁取られ、星のような瞳が期待で燃えている。

今夜は大雨の予報だった。それでも隼人は気にも留めず、盛京の仕事を片づけると、そのまま車を飛ばしてここまで来た。彼女に会う――それだけのために。

たった一日離れていただけ。なのに、恋しさが胸を焼く。

「隼人!」

門を押し開けた瞬間、桜子は涙を滲ませたまま駆け寄った。

隼人の桃色がかった切れ長の目が、ふっと見開かれ、すぐに細くなる。薄い唇がきゅっと持ち上がり、息を呑むほど綺麗で甘い笑みが浮かんだ。

彼は最初から両腕を広げて待っていた。迎えに出ようと踏み出す前に、桜子のほうが先に飛び込んでくる。

隼人はその小さな身体を抱きとめ、胸の奥深くまで抱きしめた。

「飛ばして飛ばして……やっと間に合った。遅くなって、お前が寝てたらどうしようって。会えなくなるんじゃないかって、本気でビビった」
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