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第7話

مؤلف: ちょうどいい
母は震える手でその写真を受け取った。

やせ細り、まるで別人のように変わり果てたあの人の姿を、母は食い入るように、長く長く見つめていた。

やがて――すべてを理解した母は完全に崩れ落ち、悲鳴にも似た絶叫をリビングに響かせた。

「嫌……!昭吾……!!

嘘でしょ!なんで、どうしてそんなことに……!

どうして私に内緒で、一人でそんな馬鹿な真似を……」

母は激しく首を振りながら、ポロポロととめどなく涙をこぼした。

「どうして……どうしてこんな馬鹿な人なの……!」

母は力なくその場にへたり込み、這うようにしてテーブルの上の書類をかき集めた。そして一枚、また一枚と狂ったように確認していく。

すべて見終えた母は、書類の山に顔を埋め、喉が張り裂けんばかりに泣き叫んだ。

その泣き声には、取り返しのつかない深い悔恨と、この十五年間胸の奥で複雑に絡み合い、行き場を失っていた果てしない愛憎のすべてが籠もっていた。

私はたまらず床に膝をつき、泣きのけぞる母を抱きしめた。二人で体をすり合わせながら、止めどなく涙を流した。

母は過呼吸のように喘ぎながら、嗚咽にまみれた声で懺悔を繰り返した。

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  • 十五年目の真実~私たちが父を憎んだ理由~   第9話

    そう言って、母はゆっくりと膝を折った。私も隣に座り込み、涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、父の墓前で心から懺悔した。「お父さん、ごめんなさい……ごめんなさい!ずっと、お父さんが私たちを捨てたんだって思い込んで……ひどいことばかり言って……!お母さんに新しい命をくれたのも、私が大学まで行けたのも……全部、全部お父さんのおかげだったのに!私は十五年間もお父さんのお金で生きてきたのに、父親はいないなんて嘘をついて……お父さんって、一度も呼んであげられなかった!」私は泣きながら地面に額をこすりつけ、墓石に向かって力の限り叫んだ。「お父さん、私が間違ってた!娘の私が悪かったの!!お父さん……!私の声、聞こえてる!?」叫び声が響き終わったその時、墓地を静かに風が通り抜けた。私たちの後ろに立っていた松の木の枝が、サワサワと優しく揺れた。まるで、父が「気にするなよ」と笑って応えてくれているかのように。それを見た母は、遺影の代わりに置かれた写真の、父の笑顔にそっと触れた。「……あなた。今世は私が不甲斐ないばかりに、あなたにすべての業を背負わせてしまったわね。ごめんなさい……叶のことは許してあげて。もし来世があるなら……今度は私があなたを守るから。あなたのために一生懸命働くから。あなたは家でのんびり笑っててくれればいいからね……約束よ。だから、どうか安心しておやすみなさい。叶と二人で、一生懸命生きていくから。あなたが命懸けで残してくれたこの体……この肝臓は、私が絶対に大切にするからね」その後、私たちは墓前に座り込んだまま、長い時を過ごした。空が完全に暗闇に包まれた頃、母はようやく立ち上がり、私の手を引いた。「帰ろう、叶。……もう、大丈夫よ。おうちに帰ろうね」その声は驚くほど穏やかだったが、私を握る彼女の手は、小刻みに震え続けていた。しかし、家に戻って一週間も経たないうちに、母は突然倒れた。高熱が下げ止まらず、昏睡状態のままうなされ、夢の中で何度も何度も父の名を呼び続けた。医師の話では、激しい精神的なショックに加え、もともと弱っていた体が限界を超えてしまい、一気に崩れ落ちたのだろうということだった。母まで失ってしまうのではないかと気が気でなく、私は仕事を休み、病院に泊まり込んで七日七晩、付きっきりで看病した。

  • 十五年目の真実~私たちが父を憎んだ理由~   第8話

    掠れた母の小さな声が響き、私の目からも再び止めどなく涙か溢れ出した。すべての手続きを終え、二人でそのまま自宅へ帰ろうとした。しかし、母は「あの人が最後に住んでいた場所を、一目見たい」と強く主張して譲らなかった。私は頷き、母を連れて再びあのスラムのようなアパートへと向かった。三畳ほどの狭い部屋の中に足を踏み入れた時には、すでに外は完全に暗くなっていた。天井の裸電球をつけると、部屋の薄汚さやみすぼらしさがよりいっそう残酷に浮き彫りになった。だが、母は少しもためらうことなく、骨壺を抱いたまま部屋の奥へと進んでいった。そして部屋の中央で立ち止まり、何もないガランとした室内をゆっくりと見回した。母の視線が最後に止まったのは、粗末なベッドの上に置かれた、洗うたびに固くゴワゴワになったペラペラの薄い布団だった。母は無言でベッドに近づき、骨壺を枕の上にそっと置いた。そして、それに語りかけるように、ポツリポツリと呟き始めた。「……こんな所で、暮らしてたのね。冬は寒かったでしょう。この窓……すきま風が入りそうね。それにこの電気……こんな薄暗くちゃ、物がよく見えないじゃない。私たちを捨てたくせに、どうして仕送りなんかしたの。どうして自分の体を大事にしなかったの。どうして、もっとまともな部屋を借りなかったのよ……」母は、私が机の上に放り出していったあの古いパスケースを手に取った。指先で優しくなでながら、ふふ、と笑みをこぼしたが、その笑顔のままポロポロと涙をこぼした。「このケース、私がプレゼントしたやつじゃない……夜店で、六百円で買った安物よ?あの時あなたは『一生使える』なんて言って笑ってたけど……本当に、一生使い続けるなんて、バカじゃないの……」ドアのそばに立ったまま、私はただ黙って、母が骨壺に語りかけるのを見守っていた。母は、この十五年間自分たちがどうやって生きてきたか、私がどうやって大人になったのかを父に語って聞かせていた。ずっと自分では気がついていなかったけれど、本当はとうの昔にあなたのことを許していたのだと。私たちは、あなたにひどい誤解をしていたのだと。言葉の中の虚勢が剥がれ落ちていくにつれて、母はついに完全に泣き崩れ、骨壺に顔を押し当てて激しくむせび泣いた。「ごめんなさい、あなた……ご

  • 十五年目の真実~私たちが父を憎んだ理由~   第7話

    母は震える手でその写真を受け取った。やせ細り、まるで別人のように変わり果てたあの人の姿を、母は食い入るように、長く長く見つめていた。やがて――すべてを理解した母は完全に崩れ落ち、悲鳴にも似た絶叫をリビングに響かせた。「嫌……!昭吾……!!嘘でしょ!なんで、どうしてそんなことに……!どうして私に内緒で、一人でそんな馬鹿な真似を……」母は激しく首を振りながら、ポロポロととめどなく涙をこぼした。「どうして……どうしてこんな馬鹿な人なの……!」母は力なくその場にへたり込み、這うようにしてテーブルの上の書類をかき集めた。そして一枚、また一枚と狂ったように確認していく。すべて見終えた母は、書類の山に顔を埋め、喉が張り裂けんばかりに泣き叫んだ。その泣き声には、取り返しのつかない深い悔恨と、この十五年間胸の奥で複雑に絡み合い、行き場を失っていた果てしない愛憎のすべてが籠もっていた。私はたまらず床に膝をつき、泣きのけぞる母を抱きしめた。二人で体をすり合わせながら、止めどなく涙を流した。母は過呼吸のように喘ぎながら、嗚咽にまみれた声で懺悔を繰り返した。「あの人は!大晦日の夜に……たった一人で死んでいったのに!私はあの日、死んで自業自得だなんて罵って……!あの人は知らないのよ。自分が死ぬその瞬間まで、私がとうの昔にあいつを憎むのなんてやめていたことすら……!私はただ、あんなに可愛がっていたあなたまで捨てるなんてって、それが口惜しかっただけなのに……あの人の足を引っ張りたいなんて、一度も思ったことなかったのに……!どうしてそんなにバカなのよ!あの時、ドナーが見つからなかったら、私は死ぬ覚悟ができてた……残されたあの人が、あなたを育ててくれればそれでいいって思ってたのに……!自分の肝臓を私に渡すなんて……バカよ、大馬鹿よ……!!」身を引き裂かれるように泣き叫ぶ母の細い体を、私は痛いほど強く抱きしめ、何度も何度も耳元で泣いて謝り続けた。この瞬間、十五年もの間、私たちを縛り付けていた父への憎しみは音を立てて崩れ去った。後に残ったのは、彼への限りない愛と、決して消えることのない深い罪悪感だけだった。やがて、泣き疲れた母がゆっくりと泣き止んだ。床に散らばった書類を見つめながら、ぽつりと小さな声で尋ねた。「あの人は……

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    私の言葉を聞いて、橘医師は長い沈黙に陥った。そして、重々しい溜め息とともに呟いた。「これだけ長く隠してきたのに……とうとう知ってしまったんだね。立ち話もなんだ、とにかく中に入りなさい」そう言って、彼は私を書斎へと招き入れた。そしてデスクの引き出しの鍵を開け、中から一つの茶封筒を取り出した。封筒の口を開けると、中に入っていた書類の束を机の上に広げた。一番上にあったのは、銀行の振込明細のコピーの束だった。振込人はすべて「結城昭吾」。振込日は、母の手術が終わった直後から始まり、毎月たったの一度も途切れることなく、先月まで続いていた。そして、そのすべての明細の備考欄には「治療費」「生活費」「学費」という文字が几帳面に記されていた。「彼は毎月私のところへ来て、君たちに送金してほしいと現金を預けていった。その時、『この振込の控えは必ず残しておいてほしい』と頑なに言っていたよ。『もし万が一、いつか妻や娘が真実を知った時、俺が夫として、父親として、最低限の責任だけは果たし続けていたという証明になるから』とね。『もしこのまま一生知られなかったとしたら、それはそれで俺の自己満足の記念碑みたいなものでいい』と言っていた」橘医師の言葉を聞きながら、私の頭の中では先ほどから耳鳴りが鳴り止まなかった。「それから、これもだ」橘医師はさらに一枚の書類を抜き出し、私に差し出した。それは「生体肝移植手術」の手術記録のコピーだった。そこには、ドナー「結城昭吾」、レシピエント「結城彩音」と、はっきりと記されている。「あの時、君のお父さんは全肝臓の六割近くを切り取ってお母さんに提供したんだ。本来なら、術後は少なくとも半年間はしっかりと休養し、定期的な検査と服薬による拒絶反応の管理を行わなければならない。だが彼は、術後わずか二週間で無理やり退院してしまった。私が何度『病院へ来て検査をしなさい、薬を出しなさい』と言っても、彼は『忙しい』『現場の仕事が休めない』と理由をつけて頑なに拒否したんだ。あとになって、やっと理由がわかったよ。彼は、自分自身のために金を使うのが惜しかったんだ。『この金は、妻の今後の治療費と、娘の学費にしなければならないから』と言ってね」その事実を突きつけられ、私は全身の激しい震えを抑えきれなかった。口をパクパクと

  • 十五年目の真実~私たちが父を憎んだ理由~   第4話

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  • 十五年目の真実~私たちが父を憎んだ理由~   第3話

    頭の芯で、ジージーと耳鳴りが鳴り始めた。過去の記憶が、濁流のように脳裏にフラッシュバックしてくる。絶望の淵にいたあの冬、奇跡のように降って湧いたドナーの存在。それから十年間、毎月一日も遅れることなく振り込まれ続けた、匿名の支援金。私たちからドナーの正体を問いただされるたび、どこか歯切れの悪かった橘(たちばな)医師の、あの言い淀むような表情。まさか。母に肝臓を提供し、生活費を送り続けていたのは……本当にあの男だったとでも言うのか?その考えが頭をよぎった瞬間、私は反射的に強くかぶりを振った。そんなはずがない。そんなこと、絶対にあり得ない。あの男の嘘を暴くための証

  • 十五年目の真実~私たちが父を憎んだ理由~   第2話

    だが、廊下に出た途端、さっきの大家に立ち塞がられた。「ちょっと待ちなよ。さっさと昭吾さんの荷物片付けてちょうだい。次の人に部屋を貸さなきゃいけないんだから!それとね、あの人、半年分の家賃を滞納してるのよ。全部で十二万。娘なんだから、あんたが代わりに払いなさい!」その言葉に、なんとか抑え込んでいた怒りが再び一気に燃え上がった。どこまでも最低な男だ。死んでまで、自分のケツ拭きを私に押し付けるとは。私は苛立ちのままにスマホを取り出し、電子決済で大家の口座に滞納分を送金した。「……今、払いました。部屋の荷物は一切いらないんで、そっちで全部捨ててください。もう二度と連絡してこない

  • 十五年目の真実~私たちが父を憎んだ理由~   第1話

    10歳まで、私は自分が世界で一番幸せな子供だと思っていた。優しい両親に愛され、温かい家庭があったから。だが11歳の冬、年が明けてすぐに母の肝臓がんが発覚した。移植手術が必要になったものの、ドナーはなかなか見つからない。そのうえ父は、たとえ手術が成功しても莫大な治療費がかかると知るや否や、家の貯金をすべて持ち出し、若い女を作って逃げてしまった。匿名の支援者がドナーを探し出し、資金援助をしてくれなければ、私たち親子の命はあの冬に終わっていただろう。奇跡的に生き延びた後、母も私も、あの男を心の底から憎んだ。「あのクズを後悔させたいなら、あなたが誰よりも立派になりなさい」母の言

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