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第2話

Autor: 夕焼け
その日を境に、私の周りから友達は一人残らず消えた。

クラスの全員から完全に孤立させられた。テストで1位を取れば「カンニングのくせに」と嘲笑われ、私の本当の名前を呼ぶ者など誰一人いなくなった。いつの間にか、私の存在そのものが「いじめ女」の代名詞に成り果てていた。

駿もまた、私を蔑むような視線を向けるようになった。

ところが共通テストが終わるやいなや、彼が突然、私に連絡を取ってきて告白してきたのだ。

私たちが同じ大学に進学すると、周囲からは誰もが憧れるカップルとして扱われた。

私は、過去の辛い出来事はすべて過ぎ去ったことだと信じていた。これからは二人で幸せな未来を築いていけるんだと。

でも今日、その現実は粉々に打ち砕かれた。

彼は妃奈もこの大学にいることを、ずっと隠していた。

私たちが恋人として甘い時間を重ねていたその裏で、彼はずっと妃奈のそばに寄り添い、彼女を支え続けていたのだ。

彼女を慰め、甘やかし、彼女のために私へ復讐の刃を向ける。

そうして私を奈落へ突き落とし、妃奈の邪魔になる障害物を、すべて綺麗に片付けるために。

……

一睡もできず、私は目を開けたまま朝を迎えた。

駿は、いつもと変わらない様子で朝食を届けに来た。

目の下に隈を作った私を見て、彼は傷消しの軟膏を塗りながら、優しく囁いた。

「また、眠れなかったのか?

無理するなよ。卒研のために毎日、深夜まで研究室に籠もって、火傷をした時も歯を食いしばって頑張っていたじゃないか。

絶対に優秀卒業研究賞が取れるさ。君の努力の結果だ」

全部、知っていたんだね。

なら、どうして私のデータを改ざんしたの?

私は腕に残る消えない傷を眺め、喉が締め付けられるほどに辛い。

その時、スマホが震えた。

電話に出ると、指導教授の厳しい声が耳に飛び込んできた。

「椎名さん、大学に君に関する告発状が届いた。今すぐ教務課に来なさい」

教務課に入ると、妃奈がしくしくと泣いていた。

4年ぶりに見る彼女は、私を見るなり、まるで化け物でも見たかのような怯えた目で後ずさりした。

「告発状を出したのは私じゃない。お願い、もう殴らないで……」

その取り乱しように、同席していた学部長や教授たちが一斉に眉をひそめた。

指導教授がデスクの上に置かれた告発状を指先で叩く。

「椎名さん、ここに書いてあることは事実なのか?」

私は視線を落とし、あのライブ配信で見たものと全く同じ告発状を見つめた。

「違います。私は誰のこともいじめていません。

この4年間のデータも、すべて私が自分で実験して記録したものです。研究室にある実験記録を調べてください」

私が言い終わるのと同時に、妃奈が突然、金切り声を上げた。

「嘘つき!高校のテストだってカンニングで上位を取ってただけじゃない!大学に入っても、自分で実験なんてできるはずがないわ!

先生、椎名さんの彼氏の瀬尾駿に聞いてみてください!椎名さんのことを誰よりも一番よく知ってるんですから!」

その場の全員の視線が、一斉に私の背後へと向けられた。

振り返ると、駿が複雑な表情で、数秒間黙り込んだのが見えた。

私も息を止めて待った。たとえ彼が高校時代のいじめを誤解していたとしても、私がデータを捏造するような人間ではないことくらい、知っているはずだと信じたかった。

だが、彼が口を開いた時、その声にはどこか残念がるような色が滲んでいた。

「高校の頃の揉め事については、もう何も言いたくありません。

ですが……栞が実験をしている姿を、一度も見たことがありません。彼女はほとんどの時間をスマホをいじって過ごしていましたし、あのデータもどこから持ってきたのか……見当もつきません」

こめかみが、ドクン、ドクンと激しく脈打つ。

どこからか漏れ聞こえた重い溜め息が、張り詰めた私の神経を容赦なく打ち据えた。

彼は知っていたはずだ。私がどれほど努力を重ねてきたか。

それなのに――その彼自身の口で、私の努力のすべてを踏みにじったのだ。

「有力な証言」が得られたことで、私の推薦枠はあっけなく取り消された。

教務課を後にした私を、駿が慌てて追いかけてくる。

「栞、怒らないでくれよ。俺だって、全部君のためを思って言ったんだ。

今バレたなら推薦が消えるだけで済むけど、東都中央大学の大学院に進んだ後に発覚したら、それこそ取り返しがつかなくなるだろ?」

私は彼の腕を振り払って、鋭く睨みつけた。

「だからって、あなたが私を告発したって言うの?

駿、あなたが一番知ってるじゃない。この4年間、私がどれだけの実験をこなしてきたか。私は誰一人、いじめたりなんてしていない!」

彼は驚いたように目を瞬かせたが、すぐに表情を曇らせた。

大学の4年間で初めて見る――高校時代に私へ向けられていた、あの凍りつくような冷淡さだった。

「実験のデータが本物かどうかなんて、どうでもいいんだよ。君が妃奈をいじめていたのは、俺がこの目で見た紛れもない事実なんだからな。

推薦枠は一つしかないんだ。それが無理になったのは君の自業自得だろ。

妃奈は君のせいで、東都中央大学に行くチャンスを一度奪われたんだぞ。それなのに、ここに来てまだ彼女から奪おうとするのか?……少しは彼女に譲ってやろうとか思えないのかよ」

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