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第161話

Auteur: 幸月
そう思い至り、蓮は自分なりに精一杯の甘く優しい笑みを浮かべ、杏奈の目の前で足を止めた。きょとんとした彼女の視線を正面から受け止めながら、甘く低く心地よい声でゆっくりと口を開く。

「やあ、こんばんは。よろしければ、俺と……」

「今日は運がなかったと思って諦めてください」

「……?」蓮は、顔に貼りつけた笑顔を保つのがやっとだった。

自分の身分はともかくとして、この誰もが振り返る顔立ちで口説きに行って、最後まで言わせてもらえずに遮られるとは。

杏奈の瞳には、彼の容姿に対する見とれる様子など、微塵も浮かんでいなかった。そこにあるのは、浮ついた口説き文句に対する露骨な呆れと警戒だけだ。

「存じ上げませんし、お酒をご一緒するつもりもありません。ご用件がないなら、どうぞあちらへ」

那月も本当に困ったものね。こんな所に連れてきておいて、自分だけさっさとどこかへ消えてしまうなんて。

彼女が一体何を企んで自分をここに連れてきたのか。その魂胆を確かめたいという気持ちがなければ、杏奈はとっくに席を立って帰っていただろう。

……もしかして、本気で嫌われている?

蓮は端正な目元をわずかに引きつ
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