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第575話

作者: 幸月
紗里は気を悪くする様子もなく、美しく笑って受け流した。「ただの犬よ。いつでも始末できるわ。気にする必要なんてない」

アルバートソンズは満足げに頷いた。「おっしゃる通りだ」

そう言ってから、凶悪な目を紗里へと向け、意味深に尋ねた。「では、藤本のお嬢さんの目には、このオレはどんな種類の犬に映っているのかね?」

その一言で、病室の空気が一気に張り詰めた。周りの空気が凍りつくようだった。

紗里はそれを意に介す様子もなく、笑みを崩さぬまま静かに返した。

「ふふふ。アルバートソンズさん、冗談を。これだけ長く友好的に手を組んできたのに、私があなたを犬扱いなどするはずがないでしょう」

——お姫様を守る騎士。そう呼ぶのが正しいかしらね。

アルバートソンズは紗里の心の内を知る由もなく、また知りたいとも思っていなかった。ただ低く笑う。しかしその声に滲む脅迫の色は、少しも薄れてはいなかった。「まあ、そんな気は起きないだろうね。なにせ……」

彼は紗里の耳元に身を寄せ、一房の髪を指先で拾い上げると、ゆっくりとその匂いを吸い込んだ。そして、深く感じ入るように囁く。

「オレの機嫌を損ねたらどうなるか
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