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第16話

Auteur: カンカン
結衣は土埃と血に塗れた服から、シンプルなベージュのニットとジーンズに着替えていた。髪は後ろで一つにまとめられ、形の良い額があらわになっている。顔には無数の細かな擦り傷が残っていたが、血色は随分とマシになっていた。

彼女はただそこに立ち、静かに蒼真を見下ろしていた。手にはフルーツバスケットが提げられている。

蒼真の瞳に信じられないものを見るような光が爆発し、心臓が狂ったように鼓動し始めた。傷口が引き攣れてさらに痛んだが、そんなことはどうでもよかった。

「結衣……」

死の淵から生還した狂喜と、ひどい脆さが入り混じった掠れ声だった。震える手を伸ばし、彼女の手にすがりつこうとする。

「会いに……来てくれたのか……無事で……本当に、よかった……絶対、無事だと……信じていた……」

しかし、彼の手が半分ほど伸びたところで、結衣はわずかに下がり、その手を避けた。

彼の手が宙で硬直した。

「九条社長、お目覚めになって何より」

結衣の声は静かで、一切の起伏がなく、まるで自分とは無関係の事務連絡でもしているかのようだった。

「命を救ってくれたこと、人としてお礼を言うべきだと思って来たの。
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