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第 105 話

Author: 一笠
それに、この前の写真展でのトレンド入りで、すでに何人もの友人から連絡が来ていた。

この機会にすべてを話してしまえば、いちいち説明する手間も省ける。

「つまりは、うちの息子が優しいということよ......」

雪がため息をつくと、周りの人々は驚いた。

一体、どういう意味だ?

凛が聖天に付きまとっている?聖天の家にも住んでいる?いくら何でも、図々しすぎる!

清子の母は雪の言葉の裏の意味を理解し、再び笑顔で言った。「そういうことだったのね。夏目さんは娘の教育が上手だわ」

「夏目さんには、こんな娘がいるんだから、私たちの集まりにも簡単に入り込めるわね。あんなに魅力的なら、霧島家とまではいかなくても、お金
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