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第 204 話

Author: 一笠
一夜が明けたが、ネット上での優奈に対する非難はまだ終わっていなかった。

凛が目を覚ますと、習慣的に携帯を手に取った。一目で、無数の通知が目に入った。全てネット民からのDMで、ほとんどが彼女に真実を勇敢に語るよう励ますものだった。

凛は眠気が完全に覚め、起き上がって真剣にトップページをスクロールし、おおよその状況を把握した。

昨夜は気分が悪く、早く寝たので、まさか自分が寝ている間に、多くの著名な写真家が彼女の作品を分析し、それが激しい非難へと発展するとは思いもよらなかった。

優奈の名前は今もなお、トレンドリストの上位にとどまっていた。

短い時間でネット上にこれほど大きな騒動を巻き起こせるのは、背
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