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第8話

Author: ちっちゃな魚
美波は真剣に弾いていた。本気で祝福しているように。

冬雪の心臓の鼓動が一瞬で乱れた。

彼は複雑な表情で美波に目を向けて、どうしてよりによってこの曲なんだろうと困惑しているうちに、リズムに合ったはずの動きも知らず知らずズレてしまった。

梨乃の悲鳴を聞いて、冬雪は自分がうっかり彼女の足を踏んでしまったことに気づいた。

彼はすぐに我に返って、梨乃を横抱きに抱え、薬を取りに行った。

音楽が止まって、美波はあの二人の後ろ姿を見て、今回を最後にする決意を固めた。

明日から、彼女は音夢を連れて姿を消すから。

美波がお手洗いで気持ちの整理をしているうちに、音夢はいつの間にかケーキの前に来た。

彼女はそのテーブルに置いてある大きい三段ケーキを羨んでいた。そもそも、冬雪は彼女と一緒にケーキを食べたことすらなかった。

これは自分のためのケーキではないと知りながらも、彼女は衝動を抑えられず、小さい一切れを切った。

パパが自分のために買ってくれたつもりで。

と、音夢は心の中で自分に言い聞かせた。

しかし切ったばかりのケーキは、突然走ってきた心愛に叩き落された。

「この泥棒!これはわたしのケーキなのに!」

音夢の顔色は一瞬で血の気が引いた。そして首を横に振りながら、「泥棒なんかじゃない」と説明した。

彼女はただ、パパの買ったケーキはどんな味なのか、気になっただけだった。

けれど心愛は全然聞く耳を持たず、大声で怒り出した。

「泥棒だよ。パパを盗んだ泥棒!

あんたの母も泥棒。ママの彼氏を盗んだ泥棒!二人共悪者、家から出てって!」

美波の悪口を聞いて、音夢はすぐに焦りながら立ち上がって、母を庇おうとした。

「ママは泥棒なんかじゃない!」

喧嘩している中、子供達は扉の前まで揉み合っていった。

音夢よりも力の強い心愛は、そのまま音夢を外に押し出した。

音夢はよろよろとバランスを保とうとしたが、結局花壇に転んでしまって、頭がキーンとなった。

それを見た心愛もびっくりした。

次の瞬間、彼女も転んだふりをして、床で足掻きながらギャーギャー泣いていた。

物音を聞いた美波は駆けつけてきたら、真っ青な顔色をして、頭が血まみれになった状態で花壇に横たわっている音夢を目にした。

あまりにも衝撃的な光景で、彼女は手の震えが止まらなかった。頭がこんがらがったまま、即座に音夢を抱き上げて、冬雪に助けを求めた。

駆けつけてきた冬雪もその光景を見て、一瞬で青ざめた。

音夢の様子を見に行こうとしたその時、後ろから梨乃の声が聞こえた。

「冬雪、心愛が気を失ってしまったわ!」

冬雪は足が止まった。

何秒間躊躇した後、彼は結局振り向いて、心愛のほうへ走っていった。

美波は「信じられない」と言わんばかりに、その後ろ姿を見つめていた。

躊躇いもなく、情もなく。

美波は息苦しくなり、無言のまま腕の中の音夢を抱えながら病院へと駆けていった。

幸い、大した傷ではなかった。ただ、念の為、まだ一夜のアセスメントが必要とのことだった。

深夜になるまで、冬雪は姿を現さなかった。

電話すら一度もかけて来なかった。

美波は後ろめたさと哀れみに満ちた目で、病室のベッドに横たわっている音夢を見つめていた。

それに対して、音夢はただ微笑んで、彼女を慰めていた。

「パパ、来なくてもいいの」

その言葉で、美波は心が痛んだ。

音夢は続けた。

「もういいの、パパに好かれなくても。ママがいれば十分。

ママ、ここを離れよう」

彼女の目から、昔のような未練は完全に消え去った。

その心も、冬雪に殺されてしまったのだ。

彼が躊躇いなく去っていくあの姿は、彼女の頭から離れなかった。

何をしても、冬雪に好かれないのならば、もう離れるしかない。

美波は情緒を抑えられず、涙が滝のように溢れ出して、この子を抱きしめた。

翌朝、美波は退院したばかりの音夢を連れて、空港行きのタクシーに乗った。

行く前に、彼女は冬雪に最後のメッセージを送った。

【もう一生会わないように】と。

そして、彼のすべての連絡先を削除した。

平野冬雪、三回のチャンスは全部使い切ったわよ。

これから、私達はただの赤の他人。
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