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第5話

Author: ちっちゃな魚
胸が何かに締め付けられたような感覚が美波に襲って、彼女は息さえできなかった。

冬雪のそばに十年い続けても、その氷のような心を溶かすことができなかったのは、自分の努力が足りないとかではなく、冬雪はずっと梨乃のことを待っていたからか。

だから、彼女は何をしても無駄だった。冬雪の心に入れるのは、最初から梨乃一人しかいないのだ。

そう思って、美波は自嘲気味に笑った。そして潤んだ声で言った。

「じゃまだ早いけど、結婚おめでとう。幸せになってね」

言い終わって、彼女は振り向いて出て行った。

その後ろ姿を見て、冬雪は何故かもやもやする感じがして、長らくぼうっとしていた。

裾が梨乃に引っ張られるまで、ずっと。

「冬雪、何考えてるの?」

冬雪はその一言で我に返ったが、やはり少しぼんやりしていた。

「いや、何でも。ただいきなり会社の方でまだ用事があるって思い出してな。先に戻るね」

そう言って、梨乃の呼び声を無視して、彼は振り返らずに出て行った。

夜、家に戻った美波は、音夢の晩ご飯の支度をし始めた。

一方、音夢は大人しくリビングで絵を描いていた。

突然、チャイムが鳴って、帰ってきた家政婦だと思ったら、音夢の嬉しそうな叫び声が聞こえた。

「平野さん!」

喜びが抑えられず、音夢は「平野さんが帰ってきた!」と叫んだ。

彼はまだ帰ってくるとは、美波は思わなかった。

梨乃が帰国してから、冬雪はほとんど帰ってくることはなかった。

今回はまさか晩ご飯が出来上がりそうなタイミングで帰ってくるとは。

喜びの余り、音夢は満面な笑顔で、興奮しながら走ってきた。触ろうとしたが、結局怖くて、ただ慎重に隣で立っていた。

そのような音夢を見て、冬雪は少し複雑な気持ちになった。

彼は後ろに隠されたぬいぐるみを取り出して、音夢に渡した。

「ほら」

音夢は驚いた顔で彼を見つめていた。

しばらくしたら、彼女は躊躇いながら聞いた。

「……ほんとう?」と。

冬雪は頷いた。

そのぬいぐるみは、この前破かれたうさぎのぬいぐるみとは、完全に同じものだった。

冬雪は珍しく優しい顔色をして、音夢に向かって口を開いた。

「心愛ちゃんはわざとじゃなかったんだ。これを補償にと、あの子が言ったんだ」

音夢はその言葉の意味がわからず、呆然としていた。

次の瞬間、冬雪はいきなり話題を変えた。

「数日後がお絵描きコンペじゃん。そのチャンスを心愛ちゃんに譲ってあげられないかな?」

音夢の笑顔が固まった。

自分の手にあるぬいぐるみを見て、彼女は一つわかった。

それは冬雪がこれをくれたのは自分のためではなく、心愛のためだということだ。

瞼は一瞬で濡れた。音夢は頭を下げたまま立ちすくんでいた。

冬雪は続けた。

「心愛ちゃんは帰国したばっかりで、まだ慣れてないんだ。それくらい譲ってあげてよ。ただのコンペだし、まだ次があるから」

音夢は唇を噛み締めていた。言葉の代わりに、涙が次から次へと目から溢れ出ていた。

腕に抱えているうさぎのぬいぐるみも今、石のように重く感じた。

音夢は泣きながら問いかけた。

「これをくれたのは、私にチャンスを諦めさせるためなの?」

それを聞いた冬雪は眉を顰めて、少し不快な口調で返した。

「大したコンペじゃないだろ。新しく入った心愛ちゃんに譲るのそんなに嫌か?

そんなに心の狭い子に育てた覚えはないんだが」

聞いていられなくなった美波はやってきて、音夢を抱き上げた。

抱えていたうさぎのぬいぐるみが床に落ちて、音夢は拾おうともせず、ただ美波の肩に顔を埋めてシクシク泣いていた。

音夢を部屋に戻したら、美波はぬいぐるみを彼に返した。

「そんなことしなくても、今回のコンペに、音夢は参加しないわ」

冬雪は少し驚いた。

「いいのか?」

美波はきっと音夢の味方でいると、彼は思っていた。

まさかこんなにあっさり納得してくれるとは思わなかった。

美波は静かに言った。

「元々参加する予定もなかったし」

もうすぐ、彼女は音夢を連れて彼の目の前から消えるから。

冬雪、チャンスはあと一回だけよ。
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