Se connecter碧唯は腰に手を当て、仁王立ちになって詰め寄った。「パパ、ママ、どこ行くの?」佑樹が言った。「どうやら、碧唯ちゃんは置いてけぼりらしいな」由紀子と陽太は門番のように左右に立ちはだかっている。由紀子が言った。「こっそり出かけるのは良くないわよ。どこへ行くの?私たちも行くわ」五分後、カリナンの車内はぎゅうぎゅう詰め状態になった。結局、楠木までもが連れ出され、一行はにぎやかな声を上げながらハリケーンクラブへ向かった。ハリケーン・クラブにて。亜夕美を誘って年越しを共に過ごそうと考えていた聡史は、数人の身内だけを残して祝杯を挙げていた。青威はすでに退院しており、亜夕美が来ると聞いて、早くから入
食後、亜夕美の携帯に聡史の誘いのメッセージが届いた。目を上げると、目の前では碧唯が佑樹を追いかけ回し、さっきポラロイドで撮った写真を寄越せとせがんでいた。楠木は傍らで茶をすすりながら、写真を焼き増しして全員に配ろうと話していた。由紀子はソファの端でくつろぎながら、最近捕まえたという年下彼氏と甘ったるい声で電話をしていた。その浮かれっぷりは、まるで恋に落ちたばかりの少女のようだ。だが、その会話の内容を聞く限り、簡単に騙されそうな危うさがあった。静樹は亜夕美の隣に座り、彼女の背後の背もたれに腕を回して、片手で携帯を操作していた。ニュースをチェックしているように見えたが、亜夕美が顔を上げ
年越しのご馳走は楠木が腕を振るった。亜夕美は手伝おうとしたが、皆に止められた。結局、彼女は横に座って指示を出す係に回された。リビングには暖房が効いており、静樹はシャツ一枚にピンクのエプロンという姿で、カウンターチェアに座りながら、慣れない手つきで、不器用にお正月用のあん餅を包んでいた。一つ包むたびに、お餅が薄くなりすぎてどこかが破れていく。亜夕美が隣の碧唯を見ると、そちらも似たような惨状だ。どうやらこの父娘には料理の才能がないらしい。だが、根気だけはあるようで、なんとかお餅の形らしきものをひねり出している。結局、最後は亜夕美が見かねて手を出し、残りの餡をすべて綺麗に包み終えた。「
亜夕美は病院で二日間治療を受け、体調が回復すると自宅へと戻った。翌日は大晦日だ。楠木がムーンライトベイヒルズに使用人たちを呼び集め、屋敷の飾り付けをさせていた。家の中は活気に溢れ、賑やかな声が響いている。亜夕美は温かい飲み物の入ったマグカップを手に、掃き出し窓の前に座っていた。出入りする使用人たちが、家の内外を華やかにお正月らしく飾り立てていくのを眺めていた。碧唯は、もこもこした真っ赤なダウンジャケットに、動物模した帽子を被り、真新しいしめ飾りを両手に抱えて走り回っていた。整った顔立ちに、きびきびとした愛らしい動き。雪の中を駆ける小さな妖精のように軽やかだった。鼻先や目尻は寒さで赤くな
新堂家は常に瑠花が仕切っている。暉記が不在である以上、瑠花の決定に異を唱える者は誰もいない。宗介は何か言いたげに口を開きかけたが、結局、最後まで何も言うことはなかった。使用人が路加のために部屋を用意し、彼女を部屋に案内すると、退出していった。落ちぶれたとはいえ、かつては令嬢として育った路加の所作には、独特の気品が残っていた。路加の姿が二階の角から消えた途端、天万願が飛び出してきて、焦った声で言った。「瑠花姉、これはどう考えてもおかしいよ!もう一度調査すべきだ。あんな女が新堂家の人間なわけない!」瑠花は彼を落ち着かせ、宗介に問いかけた。「パパ、この件をどう思う?」宗介は手元の鑑定書を凝
亜夕美は通話を終えると、静樹の方に視線を向けた。陽太と聡史は機転を利かせて病室を後にした。静樹が尋ねた。「何かあったのか?」亜夕美は眉を深くひそめ、冷たい口調で言った。「清水路加が、新堂家をターゲットにしたみたい」新堂家と自分に血縁関係がないのは当然だが、路加に血縁があるはずなど万に一つもあり得ない。路加が生まれも育ちも清水家であることは、調べればすぐにわかる。今さら新堂家の子を名乗るなど、方法は一つしかない。何らかの手段で新堂家の子供のDNAを入手したのだ。あるいは何らかの方法で親子鑑定の結果を改ざんしたのかもしれない。だが、改ざんは考えにくい。たとえ路加が鑑定書を持って現
路加は何か言いかけて、すぐに口を閉じた。路加はもう悟っていた――このクソガキ、演技が上手すぎる!普通の家の子ならまだしも、よりによって静樹の娘だなんて!将臣ですら静樹に対しては下手に出ざるを得ないのだから、路加にとっては到底逆らえる相手ではなかった。静樹は「そうか」とだけ言い、始終一度も路加の方を見ることすらなく、将臣にだけ向かって言った。「自分の連れくらいちゃんと管理したらどうだ?まるで暴れ犬だな。見境なく噛みついて、みっともないぞ」将臣は冷笑した。「おいおい、俺に説教はやめてくれよ。もし本当に俺のことを思ってるなら、俺の妻を家に返してくれないか。お前の下で働く人間なんて腐るほどい
ましてや隣には静樹がいた。将臣は淡々と口を開いた。「離婚したといっても、まだ諸々やるべき手続きは残ってるし、まだ正式に俺から世間に公表したわけでもない。だから形式上は君はまだ辰川将臣の妻だ。外では他人と適切な距離を保つべきだぞ」「頭おかしいんじゃないの」亜夕美はぼそっと呟き、それ以上は関わりたくない様子で静樹に向き直る。「私たちはラウンジに行きましょう」「頭がおかしい」という一言は静樹にもはっきりと聞こえた。静樹はニンマリ顔が止まらない。そしてその次に聞こえた「私たち」という言葉。静樹の心は浮かれて天まで昇ってしまいそうだった。亜夕美が将臣の目の前で「私たち」と言ったのは、先ほど将臣が言
菜実がまだ話し終わらないうちに、由紀子がさっと口を押さえた。「もういいから!おしゃべりはここまで。早く行きましょう!」二人はあっという間に歩き去っていき、亜夕美が声をかける暇もなく、一瞬のうちに通路の向こうに消えていった。亜夕美は静樹に尋ねる。「これからお戻りになりますか?」すると、碧唯が先に答えた。「違うよ!パパと一緒にママを迎えに来たんだよ、ごはん食べに行くの!」亜夕美は驚いて静樹の顔を見上げた。彼は淡々とした声で言う。「碧唯は君の演技を見るために、今日一日ほとんど何も食べてない」碧唯は自分が好き嫌いが多くて食べなかったわけではないことを説明したくて、とっさに釈明した。「パパだっ
夕方、亜夕美は車を運転して辰川家に着いた。門は開け放たれており、使用人の姿は見えなかった。亜夕美は車を外に停め、まっすぐ庭に入っていった。玄関に着いたばかりの亜夕美は、中から脩太の憤慨した声が聞こえるのを聞いた。その声は勢いがあり、病気であるような様子は微塵もなかった。「......ママは本当にひどいよ、路加おばさん、今度ママがまたおばさんをいじめたら、やり返していいんだよ。パパがいるから、パパがきっと助けてくれる!」亜夕美は窓から数歩離れた場所に立ち、中の様子がちょうど見えた。明るいリビングで、まさに一家団欒、敵を前に結束しているかのようだ。路加の顔は、なぜか数日経っても治ってお







