亜夕美はまず高級ブランド店に立ち寄り、その後介護施設へ向かった。院長を担当している成田(なりた)主任はにこやかに彼女を招き入れた。最初は「お困りのこととお察しいたします」と同情を示すような口ぶりだったが、すぐに施設費用の話題に切り替えた。「このままお支払いが滞るようでしたら、残念ですが佐藤さんをお引き取りいただくことになります」彼は穏やかな笑みを浮かべながらも、目には計算高さが滲む。「他の方も払えないと居座り始めたら、うちはボランティアの老人ホームになってしまいます……やはり」「辰川さんにお願いしてみてはどうですか?夫婦だった間柄です。あの方ならポケットマネーで軽くお支払いできるでしょう
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