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第106話

Penulis: 迷い魚
紗和は一日中、意識を失っていた。

夢の中で、紗和は幼い頃のように駆け回っていた。だが突然、両脚が少しずつ透け、やがて跡形もなく消えてしまう。

耐えがたい悲しみに呑まれ、眠ったまま涙を流し続けた。

眠りの底で、すでに検査結果を悟っているかのようだった。

紗和にとって、その両脚はかけがえのないものだった。

裕福な家庭に育ったわけではないが、それを恥じたことは一度もない。両親に会ったことがなくても恨まなかった。健康な身体を授けてくれたからだ。

紗和は自分のすらりとした脚が好きだった。どうか、この脚を奪わないでほしい。

目を覚ますと、真っ先に両脚を見た。

脚は消えていない。だが、温度も触覚も、何一つ感じなかった。

もう動かせないのだ。

反射的に身を起こそうとした瞬間、胸を激痛が貫いた。わずかに動くだけで傷が引き裂かれ、息さえできない。

息が詰まり、紗和は大きく目を見開いた。涙があふれ、喉から声にならない嗚咽が漏れる。

「私の……脚……」

病室へ来た伊織の耳に、乱れた呼吸と痛ましい泣き声が飛び込んできた。

「落ち着いて、紗和。胸を怪我している。ゆっくり呼吸するんだ」

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