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第439話

Author: かおる
「雅臣が目を覚ますころには、この女はとっくに逃げてるさ!」

勇が怒声を上げる。

航平は宥めるように口を開いた。

「雅臣は手術室に運ばれる前に言った。

目が覚めてから話をつけろと。

勇、感情的になるな。

雅臣の言葉に従おう」

だが勇は星を指差し、狂ったように怒鳴り散らす。

「こいつは雅臣を殺しかけたんだ!

許されるわけがない!

ここに置いておくより、さっさと警察に突き出して、牢屋の中で思い知るべきだ!」

このところ、星は一切の隙を見せなかった。

勇は何度挑んでも成果を得られず、苛立ちは募る一方だった。

そんな彼がようやく掴んだ「弱み」を、易々と手放すはずがなかった。

だが星は冷ややかに立ち尽くす。

表情には一切の動揺もなく、まるで他人事のように。

さらに事態を動かしたのは、警察の到着だった。

「通報がありました。

――容疑者はどこですか?」

勇と清子は同時に彼女を指差す。

「こいつだ!

こいつが雅臣を刺したんだ!

さっさと捕まえて死刑にしてくれ!」

警官たちは星を見やる。

だが彼女は逃げるでもなく、平然とその場に立っていた。

「あなたが人を殺したのですか?」

「いいえ」

淡々と答える。

「嘘だ!」

勇は尾を踏まれた猫のように喚く。

「認めないだと?

罪を重くする気か!」

星は一瞥し、冷たく言い返した。

「殺したと言うなら、死体はどこ?」

「雅臣は......手術室で処置を受けてる!」

「つまり生きてるわけね」

「星!

お前は雅臣が死ねばいいと思ってるんだろ!」

星はもはや相手にせず、警官に向き直る。

「私は殺していません。

――負傷と殺人は別の話です」

警官は眉をひそめた。

「一体どういうことです?」

航平が口を開いた。

「誤解です。

私たちは友人同士で、殺人なんて事実はありません。

確かに怪我はしましたが、不慮の事故のようなものです。

もし本当に事件なら、当人が目を覚ましたときに訴えるはずでしょう」

温厚で理知的な口調は、激情する勇よりもずっと説得力があった。

警官は彼をじっと見た。

「本当に誤解なんですね?」

「もしそうでなければ、本人が目を覚ましたときに必ず通報するでしょう」

一行の様子からも、ただの内輪の揉め事だと察した警官たちはうなずいた。

「分かりまし
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Comments (1)
goodnovel comment avatar
しょう
勇、頭悪! お前が恨まれてるヤツから刺されて死ね! すぐ切れる、すぐ怒鳴る、こんな男には女は寄り付かない。寄り付くのは清子ぐらいやわ! さっさと刑務所戻れ!お前が死刑になれ!
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