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第524話

作者: かおる
正道は、しばらく言葉を失っていた。

やがて、深い溜息とともに、低くつぶやいた。

「......わかった。

おまえがそう望むなら、好きに名乗るがいい。

今日は――おまえをもう一度、家に迎えたくて来たんだ。

影......いや、星。

あのときは父さんが悪かった。

感情に流されてしまって、ひどいことを言った。

本当に、すまなかった」

彼は不器用ながらも、頭を下げた。

正道という男には、一つだけ長所があった。

それは、立場に関係なく引くことができる柔軟さ――

その屈する力ゆえに、かつて星の母も何度も心を許してしまったのだ。

星は表情を動かさず、淡々と告げた。

「謝罪は受け取るわ。

でも、もう自分の生活があるから、今さら戻るつもりはない。

――手続きの件、どうか協力して」

「星、まだ拗ねているのか?」

正道は焦りを隠せない。

「父さんは知ってる。

おまえが外でどれだけ苦労したか。

あの神谷家の連中、見る目がないにもほどがある。

よくも、私の娘を――!」

星は首を振った。

「いいの、もう大人だから。

誰かに仕返ししてもらうような年齢じゃないわ」

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コメント (1)
goodnovel comment avatar
kozakura hime
星もそうだけど奏も家に縛られたくない 地位名誉お金があっても自由はないに等しい 望んだ仕事恋愛は選択肢はまずない その中で疑問持たずに生きて来た者は ある程度納得してる 星はもう神谷家の頃のように息を殺して生きたくはない!!
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