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第659話

Author: かおる
かつて――

雅臣が清子の願いを叶えるため、星のために用意していた結婚式を、そのまま清子に譲り渡したことがあった。

そのとき、清子が翔太の手を取り、花嫁としてバージンロードを歩いた。

その姿を見た人々の中には、彼女を翔太の母親と勘違いする者もいた。

星が怒りを見せたのは、そのときだ。

だから翔太の幼い心には、「そういう誤解は、ママを怒らせることになる」――と深く刻まれていた。

けれど今、同じような状況になっても、母は何も怒らなかった。

ただ穏やかに微笑んでいるだけだった。

翔太は、少し不思議そうに母の顔を見上げた。

彼は最近、乗馬に強い関心を持ち始めていた。

この手の名家の子供なら、四、五歳で馬術教室に通うのが普通だ。

だが翔太は体が弱く、激しい運動を制限されていたため、その機会を先延ばしにしていたのだ。

S市最大のスポーツクラブに入ると、星、清子、明日香、優芽利の四人は女性用の更衣室へ。

一方、雅臣は翔太を連れ、航平と仁志とともに、男性用更衣室で乗馬用の服に着替えた。

彼らが並んで立つ姿は、まるで映画の一幕のようだった。

男も女も見目麗しく、ただそこにいる
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