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第932話

Auteur: かおる
怜央は、通話が切れた電話を見つめ、視線を揺らした。

――仁志は、本当にこちらの行動を把握しているのか。

――それとも、ただのブラフか。

怜央は、位置を特定されるのを避けるため、そもそも携帯電話を身につけていなかった。

何かあれば、部下の電話を使えば済む。

一方、朝陽は昼頃、怜央に急遽呼び出されたばかりだ。

事情も分からず来たため、当然のように携帯を持っている。

そもそも、仮に怜央が携帯を持ってくるなと言ったとしても、朝陽が従うはずもない。

二人はそこまで親しい間柄ではない。

もし、怜央に手を出されたとしても、助けを呼ぶことすらできなくなる。

朝陽は、怜央と仁志のやり取りを、おおよそ聞いていた。

そして低く言った。

「真偽はともかく、もし航平たちが俺の携帯を特定したら、俺たちの居場所はすぐに割れる」

朝陽は電話を部下に差し出した。

「処分しろ。

ここは長居する場所じゃない。

すぐに移動すべきだ」

怜央も理屈は分かっている。

だが、それでも星を、あっさり逃がす気にはなれなかった。

しばし沈黙したあと、命じる。

「来い。

こいつらも、連れていく」

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