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第 396 話

Author: 水原信
咄嗟に、海咲は相手の背中を力いっぱい叩きながら、大声で叫んだ。

「誰よ!離して!早く離して!」

だが男は彼女の言葉など意に介さず、殴られ罵られながらも足早に前へ進んだ。

海咲は必死だった。頭で考える余裕もなく、ただこの腕から逃れたい一心だった。

この街に来てまだ数日。知らない環境で、スリや強盗がいるかどうかもわからない。

傷つけられるのが怖くて、まず考えたのは危険から逃げることだった。

だが、どれだけ叩いても、相手は彼女に手をあげることはなかった。

――これは強盗ではない。

しかも、こんなに大声を上げても全く動じない。まさか……

そう気づいた瞬間、彼女は地面にそっと降ろされた。

そして顔を見上
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