Masukこの春から配属され一ヶ月が過ぎたところ。彼の言葉で脳内に桜の花びらが舞っているかのような感覚に陥った。 ヒロイン 27歳 相野 真歩(あいの まほ) ✕ ヒーロー 22歳 年下イケメン隠れ御曹司 岩本 圭介(いわもと けいすけ) 学生時代から付き合っていた恋人がいるヒロイン。 同棲生活し職場も一緒。 ところがある日、他の女の人に「家政婦代わりに住んでもらっている」と話しているのを聞いて深いショックを受けていると…… 年下イケメン隠れ御曹司の溺愛攻撃が始まった!
Lihat lebih banyak私たちは結婚式の準備で大忙しだった。 でもこれから幸せな毎日が訪れると思ったら、 全然苦ではない。 今日は私たちは自分たちの家で、 結婚式をどのように執り行うか打ち合わせをしていた。 「圭介君、あまりお金もかけたくないし、ウェディングドレスはレンタルでいいよ」 「そんなわけにはいきませんよ。愛する妻にはとっておきのドレスを用意したいと思っているんです」 カタログをパラパラと見ながら発言する私の手を止めて、彼はじっと見つめてきた。 吸い込まれそうな素敵な表情に心臓はドキドキしてくる。 「いいよ、レンタルで」 「よくないんですって」 それの言い合い。 なんだか、ハッピーすぎる。 「わかった。そうする」 彼の熱意に負けてしまった。 夫婦になるなんてすごく不思議な気持ちだ。 仕事が忙しいはずなのに、 私の気持ちをしっかりと聞いてくれるし、不安なところは解消しようとしてくれる。 本当に優しくて素敵な人。 こんな大好きな人と結婚できるなんて私は幸せで、どうにかなってしまうのではないかと思う。 「ウエディングドレス姿すごく楽しみにしてます」 「私も。タキシード姿楽しみ。王子様みたく素敵なんじゃないかな」 素直に気持ちを打ち明けると彼は恥ずかしそうに顔を赤く染めた。 こういうピュアなところも大好きだ。 「あまり可愛いこと言うと襲っちゃいますよ」 「え?」 いきなりスイッチが入ったようで瞳が真剣に変わる。そして手を伸ばしてきて強く抱きしめられた。 「ちょっと待って、結婚式の打ち合わせをしてからにしようよ」 「もう我慢できません。可愛いことを言うから……」 顔を近づけてきて唇が重なった。 彼の甘くて長いキスに私は溺れていく。 「真歩さん……大好きです」 「ありがとう」 「真歩さんは?」 私の気持ちなんてとっくに知っているはずなのに、言葉で聞きたいとでも言いたいような顔をしている。 好きだと伝えるのは何だかくすぐったくて恥ずかしい。 でも彼が求めてくれるならちゃんと素直に伝えたい。 「好きに決まっている」 照れを隠しながら言うと、彼は嬉しそうに笑った。 「ありがとうございます。 一生大事にして離しませんから」 長い腕で抱きしめられて、私は素直に彼の
翌日の授賞式では、直接社長から賞状を受け取った。 その後はホテルで立食パーティーが開かれて、たくさんの仲間に祝福してもらった。 途中、社長に声をかけられて少し席を外す。何を言われるのかと緊張して後ろをついて行った。 用意されていたのはソファーとテーブルがある歓談室だ。「手短に話したいから立ったままで」「わかりました」「詳しくはまた今度ゆっくり話をしようと思っているのだが」 緊張でつばをゴクッと飲んだ。「素晴らしい活躍本当にありがとう」「こちらこそありがとうございます」「……圭介もかなり頑張ってくれて、跡取りとして任せることができると思うようになっているんだ。一人息子だから心配でたまらなくてね」 私は社長の話に耳を傾けていた。「まだ少し早いが、こうして成長した圭介なら家庭を持ってもいいかと思っているんだ。息子をお願いしてもいいかな?」 まさかお許しをいただけるなんて思わずに私は固まってしまった。 するとそこに岩本君が入ってくる。 二人で話しているところを見てかなり焦り、私の前に守るように立ってくれた。「お父さん、真歩さんに何をする気ですかっ!?」 社長は面白そうに笑って冗談を言うのだ。「相野さんに大事な話をしようと思って呼び出した」「父さんがどんなに反対しても、僕たちの関係は崩れることはありません! 昨日プロポーズさせていただきました」 反対されると思っているようでかなり必死だ。 社長は嬉しそうな顔をして大きく拍手をしてくれた。「もうプロポーズまでしたのか? それはよかった。おめでとう」「え?」 混乱している岩本君に私は説明をした。 社長が私たちの結婚を認めてくれたと伝えると、こわばっていた顔が柔らかくなって、今まで見た中で一番素敵な笑顔を見せてくれた。
半年という月日は長いような、短かったような。仕事も順調で時間の経過が早く感じたのかもしれない。 四月の下旬になり、アメリカから岩本君が戻ってくる。 あれから社長と出くわすたびに微妙な空気が流れていたが、私は心から愛した人とこれからも一緒に過ごしていきたいと自分なりに決意をしているところだ。 空港の到着ロビーで待っていると、手を振りながら近づいてくる人の影が見える。岩本君だ。私は嬉しくなって走ってかけよった。 それと彼は両手を大きく開いて受け止めてくれる。「ただいま」「お帰りなさい」「会いたかったです」 会えない間寂しいからと一度も泣くことはなかったけれど、一回りも二回りも成長して戻ってきたように見える。 身分を隠して新入社員として一緒に働いていた時とは別人のようだった。年下なのにかなり頼れる存在というオーラを感じる。「真歩さん……」「岩本君……」「家に戻ってイチャイチャしましょう」 そう耳元で囁かれて私は恥ずかしいけれど、コクリと頷いた。 荷物がたくさんあったのでタクシーで岩本君のマンションに戻ってきた。 部屋に入ると同時に岩本くんにハグをされる。そして何度も何度も口づけを交わす。「すみません。真歩さん不足だったんで」 少し落ち着きを取り戻した岩本君が顔を赤くしていた。 リビングに入ると、彼はポケットの中から小さな箱を出す。「僕と結婚していただけませんか?」 ダイヤモンドの指輪はキラキラと輝いていた。断る理由なんてない。「ありがとう。こちらこそよろしくお願いします」 大企業との御曹司との結婚は、そう簡単にはいかないかもしれない。でも二人の思い合う気持ちがまずは大切なのではないかと、プロポーズを受け止めることにした。「父のことは絶対に説得します。幸せになりましょうね」 岩本君が力強く私のことを抱きしめてくれた。「ずっと岩本君についていく」「ええ。でもそろそろ名前で呼んでもらえると嬉しいのですが……」「そうだったよね……」 恥ずかしくてたまらないけれど、期待に満ちた瞳をされるので私は大きく息を吸った。「圭介君」「…………うわぁ、たまらないですね」 名前を呼んだだけなのにこんなにも喜んでくれるなんて。彼の反応があまりにもかわいかったので私は満面の笑みを浮かべる。「明日は社内の授賞式ですね」「うん」 ゲ
毎日がめまぐるしく過ぎていく。 他社の商品の企画なども担当しつつ、パルティとのやり取りを繰り返していた。あまりにも忙しくて岩本君とオンラインで話せる日数も限られていた。 そして気がつけば三月になっていた。『ティーオーユーデザイン企画 相野様いつもお世話になっております。商品が完成しました。本日送らせていただきますのでご確認お願いいたします』 パルティの担当者からメールが届いていた。 翌日、実際に商品が届き段ボールを開く。部署内のメンバーも集まってきて中身を確認していた。 私が考えたデザインがゲームのパッケージとなっていて、実際に手に持つと言葉では表すことができない感動が胸いっぱいに広がった。「すごいですね!」「おめでとうございます」「いいか? 皆も頑張ったら、こういう結果を出すことができるんだぞ」 課長が言うと後輩社員たちの瞳がキラキラと輝きだした。諦めないで続けて夢を叶えることができて本当に嬉しかった。 仕事を終えて家電量販店のおもちゃ売り場に足を運ぶ。 本当に並んでいるのかなと緊張しながら行ってみたら、特設コーナーは設置されており、しっかりと商品が並べられていた。これを見て本当に夢が叶ったんだと実感した。 買い物に来ている仕事帰りのサラリーマンや、子供を連れた人がゲームを次々と手に取っていく。 ゲームの内容はかなり楽しそうで私もプレイしてみたい。 幸せそうに嬉しそうに、ゲームを手に取ってレジへ向かう姿が印象的だった。 この感動をどうしても愛する人に伝えたくて、私はスマホで電話をかけていた。すぐに岩本君が電話に出てくれる。「今大丈夫?」『そろそろ電話をしようと思っていた頃ですよ。今日は商品が発売日でしたね。本当におめでとうございます』「家電量販店に見に来たんだけど、特設コーナーが設置されていたの」『素晴らしいですね。隣で一緒に見たかったな』「……そうだね。帰ってきたら一緒にゲームしてみない?」『それはいい考えですね』「うんっ」 休日には亜希子のお墓で手を合わせて報告をしてくることもできた。 その後、クライアントから連絡が来て売れ行きは好調とのことだった。連日のようにテレビや雑誌でも紹介され、売り上げがどんどんと上昇していく。 そのうちにパッケージデザインのことまで注目してもらえるようになった。 私はアイ
勢いよく家を出たのはいいが、私は立ち止まって考え込む。 財布を見てみると、残り一万円札しかなかった。生活費を折半し、その残りは貯金に回していたので自分のお小遣いなんてないに等しい生活を送っていた。 次の給料日までどうやって生きていけばいいのだろうか。 とりあえずゆっくりと歩き出す。 歩いていると胃の辺りが熱くなりイライラしてくる。 修一郎に捧げていた時間は何だったの? 結婚間近だと思っていたのに、家も恋人も財産も全てを失ってしまった。まさか自分が悲劇のヒロインになるとは思ってもいなかったのだ。いや……ヒロインにもなれていないかもしれない。ただの最悪な人生を歩んでいる人……かな。
定時で仕事を終えて家に戻ると荷物の整理を始めた。もし私が別れを告げたら、引き止めてくれるだろうか? 片付けをしながらふとそんなことが頭の片隅によぎった。万が一引き止められたとしても私はここに残るつもりはない。 今日彼が帰ってきて別れを告げてから出て行くつもりでいた。 そのためにはある程度の資金が必要だ。二人で結婚のために貯めていた通帳を確認する。 折半すればマンションもすぐに借りられるはず。しかし残額を見て私は言葉を失った。ゼロだった。「ひどい」 完全に信用していた私も悪かったが、絶対に修一郎は私のことを裏切らないと信じていたのに無断でお金を使っていたなんて……。深く裏切られた
「相野さん、すごいですね」 岩本君が笑顔を向けてくれる。「心から応援しています」「ありがとう」 心優しい岩本君に励まされ、やる気が漲ってきた。 ドリンクを買ってこようと立ち上がると岩本君もついてくる。まるで親鳥にくっついてくる雛鳥みたい。ニコニコしていて、かわいいから嫌な気はしない。「僕も喉乾きました」「タイミングが同じっておかしくない?」「ですかね」 休憩室に入ろうとした時、修一郎の声が聞こえてきた。思わず足を止める。「今日も杏奈ちゃんは本当にかわいいね」「ありがとうございますぅ。素敵な田辺さんに言われるとすごく嬉しいです」「じゃあ今度デートしようか?」「えぇー?
「相野さんは僕の初恋の人なんです。再会できるなんて思っていなかったので驚いています」 若きエースと言われている岩本圭介(いわもとけいすけ)君が爽やかな風が吹くオフィスの屋上でさらりと発言した。 この春から配属され一ヶ月が過ぎたところ。彼の言葉で脳内に桜の花びらが舞っているかのような感覚に陥った。「でも、恋人がいるんですね。相野さんを奪いたくてたまりませんが、相野さんが今幸せなら邪魔をしません。笑顔でいてくれるのが一番ですから」 岩本君の私を想ってくれる熱いメッセージが胸の奥底に届いて泣きそうになった。――笑顔でいてくれるのが一番 あれ? 私、最近、心から笑っていただろうか。「あ
Ulasan-ulasan