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第 1161 話

작가: 水原信
「ありがとう」

突然、梨花の耳元で、清の優しくて誠実な声が響いた。

そのとき、清の黒く澄んだ瞳が、まっすぐ彼女を見つめていた。

梨花は、その視線の真剣さをすぐに感じ取った。

「そんなに改まらないで。私だって助けてもらったし。……とにかく、さっさと怪我治して、ここから出ようよ。あとで、おじさんにスマホ借りられるか聞いてみよう?」

山の中での時間は、もう十分過ごした。これ以上遅れたら、あの工場の人間に見つかってしまうかもしれない。きっとあの人たちは、二人を生きて見つけるつもりで動いているはずだ。

「うん。俺が聞いてみるよ」

すぐに、清はおじさんにスマホを貸してもらえないか頼んでみた。しかし――

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