LOGINShare
第 1172 話
Latest chapter
奥様が去った後、妊娠報告書を見つけた葉野社長は泣き狂った 第 1173 話
「ママ！パパが言ってたよ、ぼくに妹ができるんだって！」産婦人科の検査室から出てきた海咲は、星月にぎゅっと抱きつかれた。その一言に、心の底から喜びがこみ上げてくる。息子一人と娘一人——この上ない幸せ。「ママ、嬉しい？」星月は小さな顔を見上げて、期待に満ちた目で海咲を見つめた。海咲はにこやかにうなずいた。「ママはね、ずっと女の子が欲しかったの。もちろん嬉しいに決まってるわ」「やったー！」星月は両手を上げて大はしゃぎ。すると急に立ち止まって言った。「ぼく、妹にプレゼント用意したい！ママ、あとでお買い物に行ける？」その提案は、海咲がちょうど考えていたことでもあった。そろそろ出産準備を
奥様が去った後、妊娠報告書を見つけた葉野社長は泣き狂った 第 1172 話
「張本警官、どうすればいいかは分かってるな。この毒のような女に、情けは無用だ」州平は低く唸るように言った。今回の件で、彼の逆鱗が完全に触れられたのは明らかだった。海咲とその子ども、それが彼の絶対的な境界線だ。それを脅かす者には、一切の容赦がない。小林看護師は最後の抵抗を試みようとしたが、州平の鋭い視線を一瞥されると、何も言えなくなり、全ての抵抗を諦めた。その後、警察署での事情聴取を終えて建物を出ると、州平は海咲の鼻をつまんで、甘えるようにたしなめた。「危険だって分かってたのに、どうしてあんな連中について行ったんだ」「分かってたのね」海咲は甘えるように彼の腕にすり寄った。州平は思
奥様が去った後、妊娠報告書を見つけた葉野社長は泣き狂った 第 1171 話
女はにっこりと笑って言った。「最初は少し騙しておこうと思ってたけど、もうバレたなら隠す必要もないわね。出てきなさい、彼女にはもうバレてるわ」すると、別の部屋から小林看護師が姿を現した。その目には、恨みと怒りがはっきりと浮かんでいた。その姿を見て、海咲はすべてを理解した。彼女はにこやかに小林看護師を見つめた。その様子に、小林看護師は苛立ちを隠せず、「何がおかしいのよ？バレたからってどうなるっての？今ここにいるのはあんた一人よ。いくら叫んでも、誰も助けに来やしない！」「ふぅん？」海咲はまるで信じていないという顔をした。それにカッとなった小林看護師は、海咲の襟元を掴み、乱暴に引き起こ
奥様が去った後、妊娠報告書を見つけた葉野社長は泣き狂った 第 1170 話
名前を呼ばれた。海咲はぼんやりとしたまま、産婦人科の診察室へと入っていった。検査票が州平の手元にあることなど気づいていなかった。部屋に入ると、看護師が何も言う前から、自分で靴を脱いでベッドに横たわった。ふと、何かを感じて横を見た瞬間、一人の女性が部屋を出ていくところだった。その女は、妊婦には見えなかった。それどころか、彼女の視線はどこか奇妙で、敵意すら含んでいた。妊娠していないのに産婦人科にいる——それはどう考えてもおかしかった。その時、院内放送が流れ、自分の番号がまだ呼ばれていないことに気づいた。すぐにベッドから降りて靴を履き、扉の方へ向かった。すると、外から誰かの話し声が聞こ
奥様が去った後、妊娠報告書を見つけた葉野社長は泣き狂った 第 1169 話
悟との通話が繋がると、州平は手短に状況を説明し、すぐに運転手に速度を上げるよう指示した。車内は重い沈黙に包まれた。秋年は険しい顔をして、何度か海咲を押しのけてでも亜を支え直そうとしたが、結局それをやめ、じっと亜を見つめていた。その視線には次第に複雑な色が宿っていた。そんな様子を、州平は黙って見ていた。だが、余計なことは一切口にしなかった。秋年が自分から何も語らない以上、こちらが問い詰めるのは無意味だと思ったからだ。それに、今この場で彼が語ることが本当かどうかも分からない。病院に到着すると、すでに悟も駆けつけていた。州平が何かを言うより先に、海咲が悟の手を強く握った。「悟くん……ど
奥様が去った後、妊娠報告書を見つけた葉野社長は泣き狂った 第 1168 話
秋年は亜に手を差し伸べた。その姿はどこか病的で、異様な執着を感じさせた。だが、こんな歪んだ関係など、亜はこれっぽっちも望んでいなかった。彼女は怒りを爆発させた。「いらないわよ！秋年、もう海咲に連絡したわ！あの人は私の一番の親友よ！あんたも彼女の立場くらい分かってるでしょ？もし私に何かしたら、彼女とその夫が黙ってると思う？」秋年は、嘲るように笑った。「でもさ……俺とお前のこと、他人が信じると思うか？お前、それを人に言えるか？亜、お前の口から言えないなら、俺が公にしてやろうか？あの関係を」亜の全身から力が抜けた。秋年のその言葉に、彼女の脳裏には過去五年間、昼も夜も続いた地獄のような時間が
