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第82話

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隣の墓石には一枚のモノクロ写真がはめ込まれていた。写真の中の若い男性は白いシャツを身につけ、その目元は穏やかで、口元には淡い笑みを浮かべている。

その顔は彰人と瓜二つだった。

すっと通った鼻筋、シャープな顎のライン、そして耳にある小さな黒子の位置まで、寸分違わなかった。

墓碑には名前が深く刻まれている。

長谷川遥人(はせがわ はると)。

そこに記された生没年月日は彼が七年前に亡くなったことを示していた。

静奈の呼吸が止まり、全身の血液が、その瞬間に凍りついたかのようだった。

遥人……彰人……

その二つの名前を口の中で呟くと、記憶の奥底で固く閉ざされていた扉が、不意に開かれた。

七年前。

あの頃、自分は両親を失ったばかりだった。

世界はまるで一部分を無慈悲に抉り取られたかのように欠けてしまい、そこには果てしない暗闇だけが残されていた。

自分は重いうつ病を患った。

両親の墓石の前に座り、ただ涙を流すこと。それが、自分の唯一の日課だった。

まさに、そんな絶望に沈んだある日の午後。節くれだった手がすっと差し出され、一枚の白いハンカチを渡された。

「ほれ」

穏やか
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