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第104話

Author: つき酔
承也の冷たい瞳は、底が見えないほど深く沈んでいた。「君に売るだと?君は宝石のコレクションなんて趣味はないだろう。買ってどうするつもりだ」

承也の鋭い目に静かに見据えられると、心の奥底まで見透かされるようだ、と世間ではもっぱらの噂だ。

だが、今その前に立っているのは省之介だ。幼い頃から承也とともに育ち、名家で磨かれてきた御曹司である。まとった気配も、身についた品格も、そこらの人間とは比べものにならない。

省之介は承也の探るような視線を正面から受け止め、少しも目を逸らさなかった。

「贈りたい相手がいるんだ」

省之介の肩に、しんしんと雪が降り積もっていく。

名家の御曹司を雪の中に立たせ、他人に頭を下げさせてまで手に入れたい相手か。大したものだ。

承也は冷ややかに鼻で笑った。杖を握る指に、じわじわと力がこもる。「売らない」

省之介は眉を寄せた。「君が持っていても、もう使い道はないだろう」

「俺の勝手だ」

省之介はとっさに一歩踏み込み、車に乗ろうとする承也の腕を掴んだ。いつもは澄んだ声が、わずかに低く沈む。

「僕は今まで、君に何かを頼んだことはない。でも、あのブローチは、僕
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