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第357話

Author: つき酔
バスルームから、ざあざあと水の流れる音が響いていた。洗面台では、鮮血が水に混じり、排水口へ吸い込まれていった。

部屋の中でスマホの着信音が鳴った。

鏡に映る女が首を少し動かし、音のする方へ顔を向けた。頬には、まだ血のしずくがいくつかついていた。

着信音がしばらく鳴り続けたあと、水音が止まった。

部屋は静まり返った。少しして、濡れた手が床に落ちていたスマホを拾い上げ、通話をつないだ。

電話の向こうの人物が、低い声で告げた。

「お前に頼まれていた件だが、少し分かった。数日前、椎名承也のボディガードが病院へ誰かを送り迎えしていた。おそらく、それがお前の調べたい相手だ」

「誰?」

美月は軽い声で尋ねた。

「舞台役者の女だ」

美月の瞳の奥に、殺意が走った。

女。

美月は、承也に連れ戻されたあとのことを思い出した。承也は口数こそ少なかった。話す声はまだ穏やかだったが、美月への態度はいつもどこか距離があった。

それでも、承也はルビーのブレスレットを美月に贈ると約束した。莉奈の母親のものではなかったとしても。

西苑の洋館に住むことも許した。

承也は自ら病院へ付き添い、検査
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