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第8話

Author: 匿名
さっきまであんなに高慢ちきだった柚羽が、その声を聞いた瞬間、はっと飛びのいた。

「なんでここがわかったの! 国外にまで逃げたのに! どうして放っておいてくれないの!」

彼女は慌てふためき、その目にはさらに後ろめたさが浮かんでいる。

今ごろはさぞかし怖くてたまらないだろう。

国内で何の不自由もなく暮らせていたら、蒼夜なんて二番手の男、思い出しもしなかったはずだ。

柚羽が突然現れたとき、私はすぐに違和感を覚えた。少し探ってみれば、答えは簡単に出てきた。

ヒロインとヒーロー、いわゆる有名人だ。ちょっとしたことでも噂はすぐに広がる。

あの二人は手を携えて会社を上場させ、大もうけした。物語の最後の一文は以下のようだ。

【二人は手を携え、夕日を眺めながら寄り添い合った】

けれど作者は人間の複雑さをまるで理解していない。利益や金の前では、どんな誓いだって糞くらだ。

柚羽は金に糸目をつけない。気に入れば数千万でもあっという間に払う。

一方、その金額を稼ぐために、ヒーローの司は商売の荒波の中で戦い、酒で胃に穴を開けるほど応酬している。

それが長く続けば、たまらなくなるのも当然だ。
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