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第44話

Auteur: ASAMI
last update Date de publication: 2026-08-09 21:11:41

非公開地下オークション開催の当日。

私たちが訪れたのは、アメリカの郊外にひっそりと佇む重厚なヴィンテージ風の洋館だった。

重厚な扉の先には、漆黒とゴールドで彩られた煌びやかで怪しげな大ホールが広がっていた。

参加者は皆、素性を隠すために絢爛な仮面を身に着けている。

​「音羽、俺から離れないように」

​黒のタキシードに身を包み、洗練された漆黒の仮面をつけたケビンが、私の腰にそっと手を回した。

ドレスの裾を揺らしながら歩く私の隣で、彼の存在感は圧倒的だ。

世界的ヴァイオリニスト「KJ」の名声と圧倒的な財力により、私たちは最前列のVIP席へとスムーズに案内された。

​場内に重々しいパイプオルガンの音色が響き渡り、ついにオークションが幕を開けた。

数々の高価な絵画や古代の宝石が信じられないほどの高額で落札されていく。

そして中盤、司会者の高らかな声がホールに響いた。

​「――続きまして、本日最高の目玉商品でございます。数十年前、伝説の演奏家が愛用し、ある事件と共に姿を消した名器。『黒のストラディバリウス』!」

​スポットライトが照らし出したベルベットの台座の上。

そこに鎮座していたのは、見間
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    アメリカにあるICPOの厳重な会議室。重厚なオーク材のテーブルを挟み、私とケビンは特別捜査官たちと対峙していた。テーブルの上に置かれたのは、おばあ様の「黒のストラディバリウス」から取り出されたマイクロフィルムと、ケビンのチームが解析した膨大な暗号データだ。「……信じがたい。これほど完璧な裏帳簿と不法送金ルートのデータが存在していたとは」初老の捜査官が眼鏡のフチを触りながら、感嘆と驚愕の入り混じった溜め息を漏らした。画面に流れるデータには、神崎グループが長年行ってきた不正な資金洗浄だけでなく、彼らを影で操っていた闇組織の本拠地や、主要幹部たちの口座情報までが明晰に記録されている。「音羽さん、そしてKJ氏。あなた方が命がけで保全してくれたこの証拠により、本日付で国際的な一斉捜査本部が設置されます。日本側の特捜部とも連携し、ただちに強制捜査へと移行します」捜査官の力強い言葉を聞いた瞬間、私の胸の奥にすっと静かな温もりが広がっていった。「ありがとうございます。……このデータは、私の亡き祖母が命をかけて遺してくれたものです。正しく使っていただけるなら、おばあ様もきっと喜んでいます」隣に座るケビンが、そっと私の手に自分の手を重ねてくれた。そのぬくもりが、私が歩んできた過酷な道のりが決して無駄ではなかったのだと教えてくれていた。一方、日本――夕闇に包まれる神崎家の屋敷。屋敷の外壁を取り囲むように、何台もの黒い車両が静かに停車した。車内から一斉に降り立ったのは、警察庁および東京地検特捜部の捜査員たちだった。重々しい玄関の扉が押し開けられ、ノックの音もなく踏み込んでいく。「神崎当主ですね。金融商品取引法違反および不法送金の容疑、ならびに組織犯罪処罰法違反の疑いで逮捕状が出ています」嵐のような捜査員のなだれ込みに、執務室で放心していた当主はガタガタと震え上がった。「な……何を言っている! 私は神崎家の当主だぞ! たかが警察ごときが私に手を触れるなど――」「往生際が悪いぞ。お前の裏口座も、組織との取引履歴も、すべて白日の下に晒されているのだ」手錠がかけられ、冷たい金属の感触が当主の腕を締め付ける。権力と威厳を誇ってきた男の哀れな没落の瞬間だった。その頃、屋敷の2階の廊下を、虚ろな目をした神崎蓮が彷徨っていた。下階から聞こえる怒号や足音すら、いま

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