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第3話

Autor: Kester
last update Fecha de publicación: 2026-08-30 15:15:45

夜行列車がキャピタル駅を離れていく。騒がしい二等車の中で、エレナは曇った窓に寄りかかって座っていた。両手で腹部を抱きしめ、彼女を生きながらえさせている唯一の理由を感じていた。

「ごめんね、お母さんを許して」エレナは小さく囁いた。「私たちは、最初からやり直さなくちゃね」

窓ガラスの向こうに、キャピタル市で最も高いビルの頂上に誇らしげに輝くヴェイン・コープのロゴを見つめる。エレナは目を閉じ、いつか自分の手でその栄光を消し去ってみせると、心の中で誓った。

五年後。

港町として荒々しいことで知られるシティBでは、エレナ・ヴィクトリアの名はもはや誰もが知るところとなっていた。彼女は現在、国内市場を掌握する製薬会社、エセル・コープの創業者だった。かつて一銭の金も持たされず追い出された女は、今や冷徹で誰もが一目置く存在となって戻ってきた。

今夜、キャピタル市の中心部にある五つ星ホテルの大広間には、ビジネス界のエリートたちが集まっていた。エセル・コープが大規模な事業拡大を発表する夜だった。エレナはVIPルームのガラス扉の内側に立っていた。黒いサテンのドレスは身体に完璧に沿い、成熟した気品を漂わせている。そこにはもう、弱かった頃のエレナはいなかった。

「マミー」

小さな声がドレスの裾を引いた。

エレナの冷たい眼差しが、一瞬にして柔らかくなる。彼女は四歳になった息子、レオの前にしゃがみ込んだ。その顔を見るたび、胸の奥がかすかに震える。レオはチャーリー譲りのくっきりとした顎のラインと、漆黒の瞳を受け継いでいた。

「どうしたの、かわいい子?」エレナは息子の小さな蝶ネクタイを整えてやった。

「外に人がいっぱい」レオは大広間の扉を指差した。「みんな、僕の女王様を待ってるよ」

エレナは小さく微笑み、レオの額にキスをした。

「ここでおばさんと少し待っていてね。いい? マミーは用事があるの」

エレナは立ち上がり、深く息を吸ってから外へ歩み出した。大広間の扉が開いた瞬間、何百もの視線が一斉に彼女へ向けられた。会場は突然、静まり返った。

バーの片隅にいた一人の男が、突然、身体を強張らせた。手にしていたシャンパンのグラスが、今にも落ちそうになる。

この五年間、チャーリーにとって決して平穏な日々ではなかった。サラとの結婚生活は、要求と重圧に満ちていた。しかし今夜、彼の人生最大の衝撃が、まさに目の前に立っていた。

チャーリーは息を切らしながら前へ進み、人混みをかき分けた。

「エレナ……?」

信じられないというように、彼は呟いた。

エレナはその男の存在に気づいた。だが、避けようとはしなかった。むしろ大広間の中央で足を止め、チャーリーが近づいてくるのを待った。二人の距離があと二歩というところまで縮まると、チャーリーは立ち止まった。彼はエレナを見つめ、かつて自分が土砂降りの雨の中で追い出した、あの哀れな女の面影を探した。しかし、そこには何もなかった。目の前の女からは、息苦しいほどの圧倒的な威圧感が放たれていた。

「お前……生きていたのか?」チャーリーの声は詰まり、激しく震えていた。「どうして――」

「お久しぶりです、ヴェイン様」

エレナが言葉を遮った。その声は穏やかで、ひどく形式的だった。過去の名残など、どこにもなかった。

「エレナ、すまなかった。俺たちは話をする必要がある」

チャーリーがエレナの手首を掴もうと手を伸ばした。突然、罪悪感が胸を激しく突き刺していた。

エレナは優雅でありながら力強い動きで、その手が肌に触れるより先に払いのけた。眼差しが、刃物のように鋭くなる。

「礼儀をわきまえてください」

エレナは低い声で吐き捨てた。

「私はエセル・コープのCEOとして、そしてあなたの子会社の筆頭株主として、ここにいるのです。あなたの家で仕える使用人としてではありません」

チャーリーは衝撃に目を見開き、一歩後ずさった。

「株……?」

「チャーリー! どうしたの――」

豪華な赤いドレスをまとったサラが現れた。しかし、夫の前に立つ人物を目にした瞬間、その言葉が途切れた。サラの顔から、一瞬にして血の気が引いていく。

「エ、エレナ!? あなた……」

エレナは怒りを見せなかった。ただ妹を無表情に見つめていた。まるで、取るに足らないものを見ているかのように。

そのとき、エレナの背後にあるVIPルームの扉が、わずかに開いた。

小さなレオが顔を覗かせる。

「マミー、もう終わった?」

その声に、チャーリーとサラは同時に振り返った。

チャーリーの目に、自分と驚くほどよく似た顔立ちの少年の姿が映った瞬間、心臓が止まったかのような衝撃が全身を貫いた。

「子ども……あの子は……?」

チャーリーは言葉を詰まらせ、レオを見つめたあと、恐怖に染まった眼差しをエレナへ向けた。

エレナはすぐに一歩後ろへ下がり、チャーリーの視線から息子の姿を隠した。

その唇には、勝ち誇ったような薄い笑みが浮かんでいた。

「失礼します」

エレナは冷たく告げた。

「私の時間は、価値のない過去に費やすにはあまりにも貴重なので」

エレナは踵を返し、レオの手を取ると、そのまま歩き去った。

大広間の中央に立ち尽くしたチャーリーだけを残して。

彼の正気を少しずつ打ち砕いていく、残酷な現実とともに。

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