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第7話

Author: 鳳小安
「神谷瑠璃」

「こんにちは、白川さん」

瑠璃は、当然のように凛花の家のソファに腰を下ろしていた。

彼女の目の前のテーブルには——凛花の香水が置かれている。

「ここ、私の家です。勝手に入ってくるなんて、どういうつもりですか?」

凛花は冷ややかな声で言い放った。

彼女は、招かれざる訪問者が何より嫌いだった。

「あなたの家?ふふっ……」

瑠璃は笑みを浮かべ、手にした鍵を揺らす。

「もしここが本当にあなたの家なら、私がこの鍵を持ってるはずないでしょ?」

ゆっくりと立ち上がると、彼女は凛花の前まで歩み寄る。

「知らなかったの?この部屋はもともと黎真が私にあげたものよ。でも私は要らなかったから、彼があなたに譲ったの」

呼吸が止まりそうになる。

目の前の女を睨みつけ、凛花は拳をぎゅっと握りしめた。

この部屋も、彼女のお下がりだったの?

「この香水もそう」

瑠璃は香水を手に取り、空中にひと吹き。

「他人の物を勝手に使うのが趣味ですか?」

凛花が手を伸ばして香水を取り返そうとしたが、瑠璃はすっと身をかわした。

「それ、本当にあなたの物って言えるの?」

彼女は香水を握りながら、にっこりと笑う。

「この香水、名前は『瑠璃ノ記憶』。黎真が調香師に頼んで、私のためだけに調合してくれた世界で一つの香りなの。白川さん、夢を見るのは勝手だけど、そろそろ目を覚ました方がいいんじゃない?」

それだけ言い残して、瑠璃は去っていった。

残された凛花は、静まり返った部屋の中で、呆然と立ち尽くしていた。

牢獄のようだった。

そして、自分は飛ぶことも知らずに、美しい檻の中でただ鳴くだけの鳥だった。

目を覚まさなければ。

凛花は、黎真からもらった全てのプレゼントを処分した。

ただし、バッグだけは処分しなかった。

代わりに、新しい部屋を探し始め、いつでも引っ越せるよう準備を整えた。

会社の同僚たちは彼女の退職を惜しみ、送別会を開いてくれることになった。

夜の八時、凛花は予定通り会場に到着した。

扉を開けた瞬間、彼女の視線は一人の男に吸い寄せられた。

——黎真。そして、隣には瑠璃。

「白川さん、来たわね!」

その姿を見た瞬間、帰ろうとした。

だが、既に遅かった。

同僚に腕を引かれ、強引に部屋へと連れていかれる。

「せっかく来たんだから。ほら、社長まで来てくれたんだよ」

凛花は眉をひそめた。彼が来ると分かっていたら、最初から来なかったのに。

「神谷社長、隣の方は誰?紹介してくれないの?」

誰かが茶化すように問いかけたその時、黎真は瑠璃の手を取り、穏やかに語った。

「紹介が遅れたね。彼女は瑠璃、俺の恋人だ。最近、海外から戻ってきた」

その一言で、凛花の胸の奥で、何かが音を立てて崩れた。

七年。

ただ、たった一言「彼女だ」と言ってもらえる日を、ずっと待っていた。

けれど今、彼は自分ではない別の女性を、堂々と彼女と紹介した。

重たい沈黙が包み込む。

誰もが凛花に視線を向けていた。

この数年、いつも黎真の隣にいたのは彼女だった。

彼に尽くしてきたことは、誰の目にも明らかだ。

いつか、きっと彼と結ばれるものだと——

皆が、そう思っていた。

彼女自身でさえ、疑わなかった。

「さ、社長の奥さんに一杯!」

誰かが冗談混じりに言うと、黎真は凛花に目をやる。

「お前も、もう辞めるんだろ?一杯くらいどうだ?」

彼女は、医者から酒を止められていた。

彼の無茶なスケジュールで、体を壊したからだ。

「私は、飲めません」

凛花は視線を落とし、グラスの白湯を手に取った。

「代わりに水で、社長の奥さんに敬意を」

「社長の奥さん」を、凛花は噛み締めるように言った。

そして一気に飲み干す。

だが、黎真の表情は晴れない。

「なんだよ、辞めたら、酒も飲めないのか。凛花、お前、俺に恥をかかせる気か?」

彼女の辞表は、まだ車の中に置きっぱなしだ。

あいつが腹いせに辞めるなんて——そう思うだけで、黎真の胸は妙にざわついた。
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