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第130話

Auteur: 藤崎 美咲
星乃は少し戸惑った。「……?」

悠真が運転席に座るのを見て、星乃は少し考えた後、後部座席のドアを開けて素直に座った。

悠真の車に乗る機会は、そう多くない。

ただ、一度だけ彼の車の助手席に座ったことがあった。その時、助手席の前に「結衣専用席、その他の者お断り」というシールが貼ってあるのに気づいた。

星乃は、それを悠真が貼ったのか結衣が貼ったのかは分からない。

だが、シールがある以上、悠真はそれを認めていることになる。

助手席は結衣専用なのだ。

それに比べ、妻である自分は「その他の者」扱いだ。

悠真は後部座席に座った星乃をちらりと見たが、特に助手席を勧めることもなく、ただ一言だけ。「シートベルトを締めろ」

そして車を発進させる。

道中、悠真は一言も口を開かず、星乃も何を話していいか分からなかった。

車内は静まり返っている。

十数分後、車はある遊園地の前で止まった。

悠真が降りると、星乃も疑問そうな顔で車を降りた。

「ここ、何しに来たの?」星乃が尋ねる。

悠真は短く答えた。「遊ぶ」

星乃「……」

「前にお前が言ってた、夜の遊園地に行きたいって話だろ。今夜は俺が付き合う。思いっきり遊ばせてやる」悠真が続けた。

その言葉で、星乃は初めて遊園地のアトラクションがまだ動いていることに気づいた。

本来なら止まっているはずの観覧車は夜空に光を放ちながら、ゆっくり回っている。華やかでありながら、どこか寂しげでもある。

ここは瑞原市で最大の遊園地だ。昼間は人が多く、以前、星乃が沙耶と遊びに来たときは、三時間も並んだことがある。

その後、自分の誕生日に願い事をする際、その時のことを思い出して何気なく口にした。

まさか、悠真は全部聞いていたとは。

じゃあ、前の二つの願いも聞いていたのに、わざと聞こえないふりをしていたのだろうか。

星乃は苦笑した。

考えてみれば、その願いのうち、この一つだけが結衣と関係のない願いだった。

24歳の星乃は、悠真と離婚していたが、19歳の星乃はずっと悠真を愛していた。

24歳の星乃は、もう夜の遊園地には惹かれなくなったけれど、19歳の星乃は、ある夜、誕生日ケーキのろうそくを前に立ちながら、いつか悠真に自分だけを特別に思ってもらえる日を夢見ていた。

今夜は、離婚前の自分に、最後の宴を開くつもりだ。

「今夜、本
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