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第521話

Auteur: シガちゃん
その頃、由奈と祐一はフレンチレストランに入っていた。

意外なことに、祐一は店を貸し切りにもせず、個室も選ばず、ホール中央の二人掛けの席を予約していた。週末ではなかったせいか、店内の客はそれほど多くない。

「ママ、あのおじさん、どうして仮面つけてるの?コスプレ?」隣の席の男の子が、祐一を指さして無邪気に尋ねた。

母親は慌ててその手を下ろさせ、小声でたしなめる。「静かにしなさい。失礼でしょう」

そのやり取りを見て、由奈は祐一をちらりと横目で見た。瞳の奥に、いたずらっぽい光がよぎる。

頬杖をついたまま男の子に笑いかけた。「そうよ。このおじさんね、コスプレが大好きなの」

「うちのパパも好きだよ。ママとよく一緒に――」

男の子の言葉は最後まで続かなかった。母親が慌てて口を塞ぎ、気まずそうに頭を下げる。「すみません、うちの子がおしゃべりで……大変失礼しました」

由奈は一瞬、言葉を失った。

祐一は思わず笑みをこぼし、「子どもの言うことですから、気にしないでください」と穏やかに答えた。

親子が席を立ったあとも、由奈はまるで何も聞かなかったかのように黙々と食事を続ける。祐一はしばらく
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