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第105章

last update Veröffentlichungsdatum: 06.09.2026 06:11:44

箱は小さかった。

一つは私物用。

もう一つは、何か月も仕事をして集めてきた資料用。

ナーリッサは最後に一度だけ、自分のオフィスを見回した。

街を見下ろす窓。

何度も夜遅くまで向き合ったデスク。

そして、ヴァンスがProject Horizonについて初めて話してくれたときに座っていた椅子。

ナーリッサは最初の箱を持ち上げる。

そのままドアへ向かった。

振り返らなかった。

エレベーターで八階へ下りる。

財務部門。

グレーのカーペット。

ベージュの壁。

整然と並んだ無数のデスク。

どれも同じに見える。

どこにも個性がない。

一人の女性がナーリッサを迎えた。

仕立てのいいブレザーを着ている。

「サリヴァンさん」

女性が微笑む。

「私はマーガレットです。席をご案内します」

ナーリッサの足が一瞬止まった。

サリヴァン。

五年間、自分が名乗ってきた姓。

自分を裏切った男の姓。

そして今、自分から切り離そうとしている名前。

「実は……」

ナーリッサは静かに言った。

「今、離婚手続きの途中なんです」

少し間を置く。

「これからは、ミズ・ホイットモアと呼んでください」

マーガレットが瞬きをした。

「も
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