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第5話

Author: 年々
「きゃあっ!」

里帆が鋭く叫び声を上げた。

遥は反射的に手を伸ばしたが、かろうじて彼女の衣の裾に触れただけで、ボタンをひとつ引きちぎってしまった。

ちょうど類が角を曲がってきたところで、叫び声に驚いて駆け寄ってくる。

目に入ったのは、階段を転げ落ちていく里帆と、手を伸ばしたままの姿勢で立ち尽くす遥だった。

類は遥を突き飛ばして里帆の元へ走り寄り、彼女を抱き上げる。

「里帆、しっかりして!」

里帆は類の腕にすがりつき、苦しそうな表情を浮かべながら言った。

「類......遥を責めないで。彼女はただ、桜のことがあまり好きじゃないだけ......私が説得したら、怒らせちゃって......」

そう言い残すと、彼女は類の腕の中で意識を失った。

類は顔を上げ、自分に突き飛ばされた遥を鋭く睨みつけた。

「遥、俺が一番嫌いなのは、嘘をつく人間だ」

そして里帆を抱えたまま立ち上がると、怒りを込めた声で言い放った。

「里帆に何もなければいいが......そうじゃなかったら、ただじゃ置かないから」

階下で車のエンジン音が鳴り響いたとき、遥はふと手のひらを見た。

石で擦りむいた掌からは、血が滴っていた。

騒ぎを聞きつけた院長が駆け寄り、彼女を抱き起こそうとする。

言いたげな表情を浮かべながらも、口は開かない。

遥は首に巻いていたスカーフを外し、傷口に当てながら静かに言った。

「院長、私、ボランティアを何年もしてきましたよね。あなたとは......もう友達だと思っていたのに」

ちょうどその時、施設の昼食時間になり、子どもたちが元気よく飛び出してくる。

ぴょんぴょんと跳ねる桜の姿を見て、院長は感慨深く言った。

「桜ちゃんは本当に幸運です。片平さんとあれほど相性がいいとは......まるで本当の親子みたい」

帰り道、遥は自分のスマホから、五年間一度もかけたことのない番号をタップした。

コール音が一度だけ鳴ると、すぐに電話がつながった。

「夏目さんからお電話をいただけるなんて、光栄です」

赤間結弦(あかま ゆづる)の声は、怠そうでありながら低く魅力的だった。

遥は彼の皮肉を受け流し、単刀直入に切り出す。

「結弦、あなたと私の婚約、まだ有効なの?」

結弦は電話口でくすっと笑った。

「冗談はやめてくれよ。君はもう人妻じゃないか。愛人を探すなら、俺は適任じゃないよ?」

遥はぐっと堪えながら、再び問い直した。

「有効かどうかを聞いてるの」

その時、結弦の声が急に近くなった。

「俺と不倫でもしたいのか?」

遥はついに我慢の限界に達した。

「......もういい。切るよ」

そう言って電話を切ると、彼女は車を路肩に停めた。

そのとき、スマホに里帆からのメッセージが届いた。

「遥、五年間の偽片平奥様の生活って、どんな気分?」

「ねえ、今の類が何してるか当ててみて?」

続けざまに、GIF画像が送られてきた。

そこには、類がオーダースーツ姿でしゃがみ込み、里帆の靴紐を結んでいる姿が映っていた。

彼の袖口には、かつて遥が選んだカフスボタンが今もつけられていた。

すでに止まっていたはずの手のひらの出血が、スマホを強く握ったことで再び滲み出す。

そのとき、電話の着信音が鳴った。

画面には「赤間結弦」の名前が表示されていた。

「君、ほんとにせっかちだな」

「ちょっと気をつけてれば、住民票が偽物だってもっと早く気づけたはずだよ?」

さすがは結弦、たった3分で彼女が5年間信じてきた虚偽の事実を見抜いた。

遥はスマホをぎゅっと握りしめながら言った。

「赤間さん、皮肉を聞きたくて電話したんじゃないわ。私が知りたいのは......」

だがその言葉を遮るように、結弦が真剣な声で言った。

「有効だ。ずっと有効のままだ」

遥は驚き、問い返す。

「......どういう意味?」

結弦は滅多に見せない真剣な口調で答えた。

「俺と君の婚約は、永遠に有効って意味だ。君さえ望めば、俺はいつでも。遥の正式な夫になる準備ができている」

沈黙がしばらく続いたあと、遥はようやく口を開いた。

「......処理すべきことがいくつか残ってる。来週の月曜、海原の市役所前で会おう」

結弦は再びいつもの飄々とした声に戻る。

「来なかった方がバカな」

「このバカ」

そう言って遥は電話を切った。

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Comments (2)
goodnovel comment avatar
亜矢
人の人生はこうも簡単に変わってしまうのだろうか?
goodnovel comment avatar
おがわタエ
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