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愛の終わりは空虚だった
愛の終わりは空虚だった
作者: 安田徹

第1話

作者: 安田徹
結城翔悟(ゆうき しょうご)の叔母が帰ってくる前夜、彼はこれまでになく砂川静野(すながわ しずの)をラブホテルへ連れて行った。

その夜、二人はあらゆる体位や道具を試し尽くした。

最後の一度、静野の指先は男の引き締まった背中に深く食い込んでいた。

彼の巧みな技に、彼女は極限の眩暈の中で完全に我を失ってしまう。

それは翔悟にとって最も狂った一夜ではなかったが、回数という意味では間違いなく最多だった。

まるでこの一晩で、これまでのすべてを復習しようとしているかのように......

「翔悟、どうしたの......今夜、すごく激しい......」

彼が身体を離したとき、静野はもう視線を上げる力すら残っていなかった。

「別に。休んでろ、一服してくる」

彼は椅子に掛けてあった上着を無造作に手に取り、バルコニーへ出て煙草に火をつけた。

その物寂しい背中を見つめながら、静野は思わず抱きしめに行きたくなる。

だが近づこうとしたその時、彼がビデオ通話をかけているのが目に入った。

通話がつながると、画面に映ったのは、セクシーな赤いドレスをまとった女性だった。

彼女は空港のVIPラウンジに座り、手にワイングラスを持ち、全身から優雅で知的な雰囲気を漂わせている。

「翔悟くん、こんな遅い時間におばに電話?あの可愛い彼女とは一緒じゃないの?」

静野は、この女性のことを翔悟から聞いたことがあった。

彼より10歳年上で、母親の友人。

しかも小さい頃によく面倒を見てもらっていたせいで、彼は彼女を今でも「おばさん」と呼んでいる。

だが実際のところ、その女性はとても若々しく、美しかった。

翔悟は煙草に火をつけ、薄い唇から煙の輪を吐き出してから、低い声で言った。

「おばさん、この3年で俺はちゃんと成長したんだ。ベッドの上でももう大人の男になる自信がある。だから一度だけチャンスをくれない?もう昔みたいな子ども扱いはやめてくれ。俺があんたを本気で想ってるって、わかってるだろ」

「バカね、何を言ってるの。もうすぐ結婚する人がそんなこと言わないの。彼女が拗ねちゃうわよ。早く休みなさい、明日会いましょう」

通話はそこで切れたが、翔悟はその場から動かなかった。

そしてその背後で、静野は完全に凍りついていた。

全身の血が一瞬で冷え切り、呼吸をするたびに胸が痛む。

3年も一緒にいながら、彼が自分と付き合っていたのは、ただの練習相手としてだったなんて、考えたこともなかった。

今夜の一晩中の歓びさえも、あの女性に会うための準備に過ぎなかったのだろうか。

――そう思った瞬間、吐き気が込み上げてくる。

彼女は慌てて口を押さえ、振り返って洗面所へ駆け込んだ。

激しく吐き続ける音に、翔悟も気づいた。

彼は煙草を揉み消して近づき、優しく彼女の背を撫でる。

「大丈夫か?」

その口調はいつも通りだったが、静野にはただ冷たく感じられた。

触れられることさえ、もう受け入れられない。

「用事があるの。先に帰る――」

「その前に、俺と一緒におばさんを迎えに行こう?彼女、今日夜が明ける時に帰るって言ってた」

翔悟は彼女に断る隙も与えず、そのままバスルームに入り、シャワーを浴び始めた。

シャワーを出すと、彼は静野に手を差し伸べる。

「一緒に入るか?」

目の前の整った顔を見つめながら、静野は胸が締めつけられ、息もできないほどだった。

「いい......私は......」

彼女の意思など意に介さず、彼は手を伸ばして彼女をバスルームへ引き込む。

熱い湯が全身を打つと同時に、彼の大きな手が落ち着きを失ったように動き出す。

静野はそれを拒むように彼の手を掴んだ。

「やめて、翔悟......もう疲れたの、したくない」

「もう疲れたの?今夜、満足できなかったのか?さっきは気持ちよさそうだったのに......」

彼は顔を寄せ、彼女の耳たぶに噛みつき、欲情を呼び覚まそうとした。

だが、静野の瞳には、もう微塵も欲望は残っていなかった。

逃れられないと悟り、彼女はただ彼に身を委ねた――最後の一度だけ、彼の衝動のままに。

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