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共に白髪の生えるまで

共に白髪の生えるまで

By:  南風 薫Completed
Language: Japanese
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Synopsis

切ない恋

逆転

愛人

ひいき/自己中

クズ男

不倫

氷川静(ひかわ しずか)と時枝修也(ときえだ しゅうや)の結婚式は、半月後に迫っていた。しかし修也は、この土壇場でまたしても結婚の延期を考えている。 なぜなら、彼の義妹・白石由奈(しらいし ゆな)が持病の発作を起こし、「すべてを投げ出してモルディブの海に連れて行って」と泣きながらせがんだからだ。 この結婚式のために、静は二年もの歳月を費やしてきた。彼女はもうこれ以上待つつもりはない。 修也に結婚する気がないのなら、他の男に乗り換えるまでの話だ。

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Chapter 1

第1話

氷川静(ひかわ しずか)と時枝修也(ときえだ しゅうや)の結婚式は、半月後に迫っていた。しかし修也は、この土壇場でまたしても結婚式を延期しようと考えていた。

なぜなら、彼の義妹・白石由奈(しらいし ゆな)が持病の発作を起こし、「すべてを投げ出してモルディブに連れて行って」と泣きながら彼にせがんだからだ。

この結婚式のために、静は二年もの時間を費やしてきた。もうこれ以上待つつもりはない。

修也に結婚する気がないのなら、他の男に乗り換えるまでの話だ。

……

修也は試着したばかりのタキシードを慌ただしく脱ぎ捨て、スマホでモルディブ行きの一番早い便を予約した。

「結婚式は数日ずらそう。俺たちの両親には、うまく説明しておいてくれ」

付き合って六年、修也が由奈のために自分を放り出すのは、これで何度目かも数えきれない。

ついさっきまで結婚式への憧れに浸っていたのに、今や静の瞳の輝きは少しずつ消えていった。

由奈のせいで結婚式は何度も延期され、静はとっくに親戚や友人の笑い種になっていた。

込み上げてくる悔しさに、息もできないほど胸が締め付けられ、涙が不甲斐なくこぼれそうになる。

飛行機の予約をした修也が振り返ると、静と視線がかち合った。彼女の涙に濡れた瞳を見て、彼は一瞬たじろいでしまい、バツが悪そうに口を開いた。

「知ってるだろ、由奈は病気なんだ。言う通りにしないと、自分を傷つけてしまうかもしれない。放っておけないんだよ」

静は何かを言おうとしたが、そのとき、修也のスマホが鳴った。

由奈からの催促の電話だ。

修也は優しい声で由奈をなだめ、もう飛行機は予約したからすぐに家へ迎えに行く、荷物の準備をして待っているようにと伝えた。

電話を切り、再び静に視線を戻したとき、修也の目にあったはずの罪悪感はさっぱり消え失せていた。

「もう行かないと、飛行機に間に合わなくなる。試着が終わったら、自分でタクシーを拾って帰ってくれ」

大股で去っていく修也の後ろ姿を見つめながら、静は手のひらを強く握りしめた。

大学時代、修也は学部でも近寄りがたい、孤高の存在として有名だった。彼に想いを寄せる女子は星の数ほどいた。

その高嶺の花を、静は二年かけてようやく手に入れたのだ。

苦労して手に入れた修也を、静はとても大事にしてきた。彼に尽くし、すべてを受け入れ、わがままを言って困らせたことなど一度もなかった。

しかし、どれだけ誠意を尽くしても、修也の態度は常に生ぬるいままだった。

恋人同士のはずなのに、どこかよそよそしい空気が漂っている。

もともとそういう性格なのだと、静は思っていたが、由奈が怪我をしたときの修也の取り乱しようを見て、ようやく気づいた。彼は、決して氷のような人間ではないのだと。

修也に対する由奈の想いは誰もが知っていたが、義兄妹という関係ゆえ、その想いが父親に認められることはなかった。

そのため、由奈は病気を盾にし、静と修也の間に割り込んで仲を引き裂こうとしている。そして修也はいつも、それを優しく受け止めてしまうのだ。

自分は修也と由奈の茶番劇における、ただの道具なのではないかと、静はときどき感じてしまい、吐き気がするほど不快だった。

この六年間、何度も別れようと考えたが、離れようとするたびに、修也は急に優しくなって引き止めるのだ。

そんな繰り返しで、彼女の心はとっくに絶望で飲み込まれていた。温もりも希望もすべて奪われ、虚しさだけが残った。

自分はこんな人間ではなかったはずだ。いつも明るく前向きで、生命力に満ちていた。

それが今では、自分の殻に閉じこもり、不平不満ばかりを口にする嫌な女になった。

ひたすら我慢を重ねた結果、彼女は自分を見失ってしまった。ふと、鏡に映る自分がひどく哀れな存在に思えた。

もうこれ以上、あの人に振り回されるのはごめんだ。彼が二人の関係を大切にしないのなら、こっちだって、結婚式の直前に花婿を別の男にすげ替えればいいのだから!

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