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第6話

Penulis: キュートキャット
「これから結婚すれば何かと金がかかるんだぞ。ましてやお前、子供が欲しいって言ってただろ?お前が将来の計画を立てないなら、俺が俺たちの子供のために考えてやるしかないじゃないか」

「全部将来のためだ」と、彼は言い切った。

だが、私はもう彼の詭弁を聞く気にはなれなかった。

いくらもっともらしい御託を並べようと、結局はすべて桜空のためなのだ。

おそらく、彼が自ら桜空を会社へと迎え入れたあの時から、彼女は彼にとって特別な存在だったのだろう。

あるいは――彼の心は、最初から傾いていたのだ。ただ、その向けられる先が、一度として私ではなかった。

そう思い至り、私は冷徹な声で告げた。

「海翔、私たち、別れよう」

その言葉を口にした瞬間、まるで憑き物が落ちたかのように、心がすっと軽くなった。

電話の向こうが、一瞬にして静まり返った。

しばらくの沈黙の後、怒りを押し殺したような海翔の声が再び響いた。

「汐音、またそうやって意地を張るのか!今ちゃんと説明したばかりだろ!

たかが新居のことで別れるだと?俺たち付き合って九年だぞ。お前の青春にずっと寄り添ってやったのに、挙句の果てに別れるって言うのか!

お前には血も涙もないのかよ!

待ってろ、今すぐ戻る。俺の目の前でちゃんともう一度言ってみろ!」

そう言い捨てると、海翔は一方的に電話を叩き切った。

傍らでそのやり取りを聞いていた桜空は、海翔が顔を真っ赤にして怒っているのを見て、すぐに目を潤ませて自分を責めるように言った。

「こんなことで二人が喧嘩になるって分かってたら、道端で寝ることになっても絶対住まなかったのに……

帰ったら私が土下座して謝るよ。先輩と別れないでってお願いする。全部、私が悪いんだから……」

その言葉を聞いた海翔は、胸を締め付けられるような面持ちで彼女の涙を拭い、優しく慰めた。

「お前のせいじゃない。謝る必要なんてないよ。汐音が本気で別れるわけない。どうせただの当てつけさ。

後で適当に甘い言葉でもかけて機嫌を取れば、すぐに大人しくなる。

お前、あの家がすごく気に入ったって言ってただろ?彼女に名義変更させて、お前のものにしてやるよ」

それを聞いた桜空の瞳が、一瞬パッと輝いた。

しかし、すぐにわざとらしくためらってみせる。「でも、いいの?だって、先輩たちの新居なんでしょ?」

海翔は首を横に振った。

「気にするな。家なんて別にこれ一つじゃないんだから。

行くぞ。今から戻って、彼女に手続きをさせよう」

……

ぷつりと切れて明かりが灯ったままのスマホ画面を見つめる。喉元まで出かかっていた「本気よ」という言葉は、行き場を失い、飲み込むしかなかった。

思わず自嘲気味に笑みがこぼれる。

この何年間、彼はいつもこうだった。私の気持ちなど一切お構いなしで、自分の思い通りにしか動かない。

そんな扱いにも、私はとうの昔に慣れきっていた。

私は壁から無残に切り裂かれた刺繍画を外し、そっとスーツケースに収めると、清掃業者に連絡して徹底的なクリーニングを依頼した。

桜空の私物を容赦なくすべてゴミ袋にぶち込んだ後、不動産業者に連絡を取り、この物件を売りに出す手続きをした。

別れた以上、新居などもう必要ない。

ただ、心血を注いで作り上げたこの家を手放すのは、さすがに少しもったいない気もした。

幸い立地条件が抜群だったこともあり、このエリアのマンションは引く手あまただった。

すぐに買い手が内見に訪れた。

相手は一通り見るとその場で即決し、すぐさま売買の手続きが進められた。

すべての後始末を終えた合間に、私は航空券を手配した。

鍵屋が新しく付け替えたばかりの鍵を買い手に引き渡し、私はスーツケースを引いて空港へと向かい、A市へのフライトに搭乗した。
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