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第25話

Auteur: 橘州一
静河は軽く笑った。

「どれほど私を愛していたとしても、それが何だというんですか。結局、あの人は浮気したじゃありませんか。

あの人だけじゃない、彼の友人たちも、みんな私に隠していました。もしかして、あなたも私に隠していたのではありませんか?」

かつて純子が静河の誕生日パーティーの最中に、妊娠が原因で倒れた一件。あれほど大騒ぎになったのだ。

喜久美が知らなかったなど、静河にはどうしても信じられなかった。

案の定、喜久美の表情はこわばった。

昭弘と静河が結婚してから、喜久美はずっと、早く子どもを作るよう二人を急かしていた。

けれど一人は体の問題で子どもを産めず、もう一人は妻を思いやるあまり、子どもを望まなかった。

それが喜久美には腹立たしくて仕方なかった。だから静河の顔を見るたびに、心の中がひどく不快になり、自然といい顔などできなくなっていた。

だからこそ、純子が妊娠したと知ったとき、喜久美はとうに礼儀も何もかも置き去りにしていた。

浮気が榎木家にとって、どれほど恥ずべきことなのかも忘れていた。

たとえ昭弘の父の太郎がそのことで毎日のように喜久美に冷たい顔を向けても。

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  • 愛は難く、別れは易し   第25話

    静河は軽く笑った。「どれほど私を愛していたとしても、それが何だというんですか。結局、あの人は浮気したじゃありませんか。あの人だけじゃない、彼の友人たちも、みんな私に隠していました。もしかして、あなたも私に隠していたのではありませんか?」かつて純子が静河の誕生日パーティーの最中に、妊娠が原因で倒れた一件。あれほど大騒ぎになったのだ。喜久美が知らなかったなど、静河にはどうしても信じられなかった。案の定、喜久美の表情はこわばった。昭弘と静河が結婚してから、喜久美はずっと、早く子どもを作るよう二人を急かしていた。けれど一人は体の問題で子どもを産めず、もう一人は妻を思いやるあまり、子どもを望まなかった。それが喜久美には腹立たしくて仕方なかった。だから静河の顔を見るたびに、心の中がひどく不快になり、自然といい顔などできなくなっていた。だからこそ、純子が妊娠したと知ったとき、喜久美はとうに礼儀も何もかも置き去りにしていた。浮気が榎木家にとって、どれほど恥ずべきことなのかも忘れていた。たとえ昭弘の父の太郎がそのことで毎日のように喜久美に冷たい顔を向けても。たとえ静河がそのことで、毎日ひそかに心を痛めていても。喜久美には、そんなことはどうでもよかった。何よりも大切なのは、榎木家の跡取りとなる孫の顔を見ることだった。喜久美のその反応を見て、静河の目にかすかな皮肉がよぎった。自分の息子の浮気を後押ししておきながら、なぜ今さら、昭弘に完全に失望し、心を閉ざした自分を説得しに来るのだろう。「奥様。帰ったら、あの人に伝えてください。彼は自分を苦しめているだけではありません。私のことも苦しめています。昔、私に与えた傷だけではまだ足りないとでもいうのでしょうか。私を死ぬまで追い詰めなければ、気が済まないのですか?」そう言い終えると、静河はもう喜久美の反応を見ることもなく、軽く手を上げ、出ていくよう促した。喜久美も、立ち上がって出ていくしかなかった。一方、病院。喜久美の後ろに誰の姿もないことを見た瞬間、昭弘の目に残っていた最後の光が、完全に消えた。彼は何も言わなかった。ただ手を振り、喜久美に外へ出るよう示した。昭弘は手の中の結婚写真を持ち上げた。後悔の涙が、写真の中で花のように笑う静河の顔の上へ落ちた。

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