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第265話

Author: ラクオン
市役所の前に立った瞬間、胸の奥がふっと軽くなった。

今まで感じたことのないほどの、解放感だった。

本当は来依が付き添うと言ってくれたけれど、私は首を振った。

最初に一人で始めたのだから、終わりも一人で迎えるべきだと思ったから。

通りを走る車の音が、やけに遠くに聞こえる。

出入りする人たちの顔を眺めていると、誰が結婚で誰が離婚なのかなんて、一目でわかる。

笑っているのは、結婚する人たち。

無表情か、互いに顔を背けているのは、離婚する人たち。

感情が壊れた関係ほど、綺麗な終わり方はできないものだ。

けれど、宏と私の間には、そんな面倒すら存在しなかった。

彼は最初から私に愛情なんて持っていなかったし、私が彼を愛してしまったのも、ただの偶然のようなもの。

――それでも八年も、間違えていた。

ただ、一つだけ予想外だったのは、宏が一人で来なかったということ。

黒光りするマイバッハのドアが開き、宏が降りてきた。

そのすぐ後ろに、星華の姿があった。

宏の顔には、いつものように感情の色がまるでない。

片手をポケットに突っ込み、まるで何事もないような口調で言った。

「行こ
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