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我が往くは恩讐の彼方
我が往くは恩讐の彼方
Author: メリッサゼット

第1話

Author: メリッサゼット
私はC市で右に出る者のいない贋作師であり、最高レベルの情報屋だ。だが、この街のすべてを牛耳る男、ドンであるヴィンチェンツォ・ルッソに恋をしてしまった。

10年の間、私は彼の秘密であり、武器であり、そして彼の女だった。私は闇の中から彼の勢力圏を築き上げたのだ。

いつか彼から指輪をもらえると思っていた。だって、彼がこの街にいる夜は欠かさず私の奥深くに入り込み、快楽を貪っていたのだから。

彼は私の耳元で囁いた。お前は俺のものだ、これほど最高な気分にさせてくれる女は他にはいない、と。

だが今、ようやく気づいた。私は彼の女なんかじゃない。ただの道具に過ぎなかったのだと。

……

1時間前。

これで千回目になるだろうか。彼は荒々しく激しく私を抱いた。

私は彼の下で理性を失い、爪を彼の肩に深く食い込ませた。

「そう……そのまま……」

私は喘ぎながら、彼が私の奥深くを突く度、そのすべてを感じ取っていた。

彼は強く、今までになく激しく私に口づけをした。

事が終わった後、私は彼の腕の中で丸くなり、彼の胸にある傷跡を指でなぞっていた。

暗闇を切り裂くように、彼が口を開いた。

「明日の夜、ファミリーの晩餐会に来い」

私は心臓を高鳴らせながら彼を見上げた。

10年も彼のベッドを共にしてきたが、家族の公式な食事会になんて一度も近づけさせてもらえなかったのだ。

「ヴィンチェンツォ」私は身を起こし、震える声で尋ねた。「こういうことなの?ついに私を正式にあなたのものにしてくれるの?」

彼は片眉を上げ、横目で私を見た。

「正式に、だと?」彼は煙の輪を吐き出し、冷ややかな声で言った。「何を正式にする必要がある?明日のディナーは俺の婚約者を歓迎するためのものだ。北の大国のマフィアの姫君、カテリーナ・ペトロフをな」

彼の言葉は、まるでハンマーのように私を打ちのめした。

心臓が止まりそうになった。頭の中が真っ白になる。

「結婚するの?じゃあ、一体私は何だったの?」

ヴィンチェンツォの顔から嘲笑が消えた。彼は身を乗り出す。

「まさかとは思うが、キアラ」と喉を鳴らすように言い、指で私の顎をすくい上げた。「本気でルッソファミリーの女主人になれるとでも思っていたのか?」

私は信じられない思いで彼を見つめた。

「彼女とは……いつ決めたの?」

「半年前だ」

彼は立ち上がり、めちゃくちゃにした私の顔を振り返ることもなく、バスルームへと歩いていった。

「同盟のためだ。ファミリーのために」

半年前。

海外への出張の数々が頭をよぎる。

彼が帰ってくる度、私はベッドで彼を待っていた。

だが彼はその出張の裏で、別の女と婚約していたのだ。

私は彼を追ってバスルームに入った。鏡には青ざめた私の顔と、彼がつけた痕だらけの体が映っていた。

1時間前までそれは誇りだったのに。今はただの恥辱の烙印でしかない。

「彼女を愛しているの?」

「愛?」

彼はシャワーを出し、立ち込める湯気がすぐに鏡を曇らせた。

「キアラ、お前はもっと賢い女だと思っていた。これはビジネスだ。おとぎ話じゃない」

彼はシャワーから出てきた。その完璧な肉体から水滴が滴り落ちる。

10分前まで私を狂わせていたその体が、今はただ吐き気を催させた。

「カテリーナは若くて美しく、そして利用価値がある。彼女は東側の巨大な勢力すべてをもたらしてくれるんだ」

彼はタオルを手に取り、私の裸体を舐めるように見た。

「そしてお前には……お前なりの使い道がある」

使い道。

彼のベッドを温める肉体。忠実な武器。

私はただそこに立ち尽くした。これほど自分が汚らわしいと感じたことはなかった。

どうにか気を取り直して外に出ると、ヴィンチェンツォはすでにスーツを着込み、ソファに座って電話をしていた。

「あの有名な宝飾卵だ。絶対に『冬の卵』のモデルを手配しろ。カテリーナの一番のお気に入りだからな。花は北国から空輸したスズランに限る。彼女はあの香りが好きなんだ。それから、彼女が試着するためのオートクチュールのドレスを十数着用意しておけ。すべて白だ。天使の色らしいっと彼女が言った」

それを聞いて、心臓が握りつぶされるように痛んだ。

思わず彼の方を見てしまう。そして、私は見てしまったのだ。彼の顔に浮かぶ、今まで一度も見たことのない微笑みを。それはまるで……甘く優しいものだった。

必死に押し殺していた苦痛が、再び怒涛のように押し寄せてきた。

ガシャン。

私の手からスマートフォンが滑り落ち、床に叩きつけられた。

音に反応して振り返ったヴィンチェンツォは、まだ微笑みを浮かべていた。

「綺麗になったか?いい子だ。帰ればいい。請求書は俺が処理しておく」

彼はコートを手に取って部屋を出ようとしたが、ドアの前で立ち止まり、口元に冷笑を浮かべて私を振り返った。

「キアラ、お前はいつだって俺の最高の武器だった。だから、そんな蹴られた子犬のような顔はやめろ。哀れに見えるぞ。お前には決して手に入らないものを、高望みしているようにな。

俺はお前の全部を知っている。一目見ただけで、何を考えているか分かるんだ。それって少し……見え透いてると思わないか?もし俺たちが本当に一緒になったら、死ぬほど退屈だろうな」

彼の声は足音とともに遠ざかっていったが、その言葉は私の頭の中で響き続けていた。

私は冷たいベッドに座り込んだ。笑いが込み上げてきた。そしてその笑いは、やがて涙へと変わった。

夜遅くまでそこに座り続け、やがて自分のスタジオへと戻った。

金庫の前に歩み寄り、暗証番号を入力する。

中には黄金のデザートイーグルが入っていた。グリップには私のイニシャルが刻まれている。18歳の誕生日に、ヴィンチェンツォから贈られた「プレゼント」だ。

他にも、この数年で彼がくれた宝石や絵画、アンティークの数々がしまわれていた。

今夜、私はそれらを一つ残らず、焼却炉へと放り込んだ。

「お嬢様、こんな良い品ばかり……本当に全部捨ててしまわれるのですか?」私の助手は炎を見つめながら、ひどく惜しむような目で尋ねた。

私はゆっくりと頷いた。静かな声だった。

「もう、いらないの」

品物だけじゃない。この関係も、あの男も……もうすべていらない。

私は暗号化された番号にダイヤルした。

「パパ。私よ」

「キアラか?やっと電話をかける気になったんだな」

「7日以内に、C市からキアラ・ロッシの痕跡を消して。永遠に」
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