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第26話

Penulis: 結奈々
柚香は声のする方を振り向いた。

時也は体にぴったり合ったスーツを着こなし、穏やかな笑みを浮かべていた。どこか陽だまりのような雰囲気をまとっていて、目が合うと少し申し訳なさそうに眉を下げる。その柔らかな空気は、誰にでも好かれそうだった。

「うちのボディーガードが無礼を働いたようで、気を悪くされたなら申し訳ありません」時也はそう言って部屋に入り、椅子に腰を下ろすと、彼女にお茶を注いだ。「どうぞ、座ってください。指輪の件についてお話ししましょう」

「もう、売る気はありません」柚香は、いまだに圏外のままのスマホを見つめながら、逃げるタイミングを探していた。

「もう一度、考え直してみませんか」時也は湯気の立つ湯飲みを彼女の前にそっと置いた。「もし僕の遅刻やボディーガードの態度で気を悪くされたのなら、きちんとお詫びします」

「そういうことじゃなくて……ただ、急に手放したくなくなったんです。記念に残しておきたくて」

柚香が答えると、時也は湯飲みを指先でなぞりながら、ふっと目の色を変えた。「そうですか」

「はい」

「なら、少し誤解があるようですね」時也はゆっくりと言葉を継ぐ。「僕は、め
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