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第432話

Author: 結奈々
「社長」恭介が心配そうに医療キットを後部座席に置いた。

遥真は濃い色のカジュアルウェアを脱ぎ、引き締まった上半身を露わにする。ガーゼで覆われた傷口からは、すでに少し血が滲んでいた。

「消毒とガーゼの交換、少し痛むかもしれません」恭介は医療キットを開き、車内はすでに消毒済みだった。「我慢してください」

万が一に備えて、来る前に医者から手当の方法を教わっておいた。

本当に、習っておいて正解だった。でなければ、帰る頃にはもっとひどくなっていたはずだ。

「大丈夫、適当にやってくれ」遥真の声は低くかすれている。柚香と陽翔に異変を気づかれないよう、午後ずっと耐えていた。この程度の痛みなら問題ない。

恭介がガーゼを外し始めた。

そのとき、車の窓がコンコンと叩かれる。遥真が視線を向けると、外に立っていたのは昭彦だった。

窓を下ろそうと手を上げたところで、恭介が少し心配そうに言う。「社長、ケガのことは、なるべく知られないほうがいいかと思います」

「ここは蒼海市だ。この街の四つの名門家族を相手に、隠し通せる情報なんてほとんどない」遥真は淡々と答えた。「あいつはとっくに知ってる」

さっき
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