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第10話

Auteur: ウインター
雫は証拠を揃え、瑠奈を警察に突き出した。

白峰家も彼女との縁を切り、保釈しようともしなかった。

瑠奈は足の骨折が治らず、手も後遺症が残り、二度とピアノを弾けない体に。大学受験を逃し、前科持ちとなり、人生は完全に終わった。

私は一度、彼女に会うために刑務所を訪れた。

彼女は最初、期待するような媚びた笑顔を浮かべたが、私だと気づくと顔をしかめた。

「……あんたなの?」

私は平然と椅子に座り、静かに言った。

「当然でしょ。白峰夫婦はもうあなたに会いたくないもの。自分の本当の娘を永遠に失ったのは、あなたのせいだからね。でも、私は生みの親として、一度くらい顔を見ておこうと思ったのよ」

瑠奈は怒りを込めて叫んだ。

「私は白峰家の娘よ!あんたなんか私の母親じゃない!」

「どうして本当の娘の私を裏切って、雫の味方をするのよ!」

私は静かに微笑んだ。

「私も犯罪者の娘なんていらないわよ。

けれど、あなたが自分の欲を抑えて、雫とうまくやってくれたら、こんなことにはならなかったでしょう?

でも、あなたは雫を陥れ続けた。だから、私は彼女を守るしかなかったの

もう少し、自分の手札をうまく使えていたら、こんなことにはならなかったのにね」

私は瑠奈の叫びを無視して立ち上がり、刑務所を後にした。

雫は大学受験に合格し、有名な遠方の大学に進学することが決まった。

私たちは、この因縁だらけの街を離れることに決めた。彼女が進学する大学のある街で、新しい生活を始めるために。

白峰家からもらった二億円のおかげで、生活には余裕ができた。

飛行機のチケットを手配すると、白峰夫婦がその情報を察知し、出発前に会いにやってきた。

「どうか、雫。もう一度私たちと一緒に……」

二人は疲れた様子で、しかし必死に雫に訴えかけた。

私はその間、散歩に出かけ、彼らに話す時間を与えた。

一時間後、夫婦は泣きながら家を出ていった。目には深い後悔が浮かんでいた。

「母さん、行こう!」

雫は明るい笑顔を浮かべ、荷物を持って玄関に立っていた。

「これから、私たち二人の幸せな生活が始まるんだよ!」
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