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星明かりに抱かれて
星明かりに抱かれて
Penulis: アシシド

第1話

Penulis: アシシド
帝都大学の合格発表日、神宮寺司(じんぐうじ つかさ)の名前がネット上を席巻した。

彼は全科目満点という前代未聞の成績で、見事に帝都大学の首席合格を果たした。各メディアはこの天才高校生をこぞって取り上げ、SNSのトレンドは彼の話題で完全に埋め尽くされた。

そんな中、司本人はインスタグラムに満点の成績表と、星野凛(ほしの りん)にキスをしている写真をアップし、こう書き添えていた。

【俺の彼女には、最も優秀な人こそがふさわしい】

クラスのライングループは通知が鳴り止まなかった。

【マジで神宮寺満点じゃん!あいつ人間かよ!】

【ヤバい、天才でイケメンで一途とか、設定が完璧すぎる!】

【彼氏イケメンすぎ!】

【この美男美女カップルは永遠に不滅!一生推す!】

祝福のメッセージが飛び交う中、場違いな一言が突然投下された。

【凛が羨ましいな。私にはあんな素敵な彼氏を持つ資格なんて、永遠にないもん】

白石澪(しらいし みお)だった。

この貧しい転校生の発言により、グループラインは数秒間静まり返った。

凛が返信しようとした矢先、司が澪に向けて個人間送金で二千万円を振り込み、メッセージを添えたのが見えた。

【いつかできるよ】

凛はずっと、司がただ優しすぎるだけだと思っていた。

雨の日に濡れていた澪に傘を貸したり、彼女の机にこっそり朝食を入れたり、彼女が「羨ましい」とこぼしただけで二千万円も送金してしまったのと同じように。

国内最高峰である帝都大学の入試担当者から電話があり、彼が特待生として入学する条件として、もう一人を特別に入学させられる「同伴推薦枠」を与えようと言われるまでは。

彼はその枠に、澪の名前を書いたのだ。

事後、彼は凛をなだめるように説明した。

「凛、澪の家は貧しいんだ。名門である帝大に入らなければ、実家に連れ戻されて無理やり結婚させられてしまう。彼女の方が、君よりもこの枠を必要としているんだ。

君も成績が良いんだから、帝大周辺の別の大学を受ければいい。そうすれば、これからもずっと一緒にいられるだろう」

彼はすべてを丸く収めたつもりでいたが、ウェブ出願システムの締め切り直前、澪がこっそり凛のアカウントにログインし、彼女の志望校を遥か遠くにある名もなき無名短大に書き換えていたことなど知る由もなかった。

帝都大学への夢は砕け散り、ましてや短大進学など彼女の望むところではない。

彼の愛がもはや純粋でないのなら、いっそ手放してしまおう。

……

「凛、海外の大学への出願はもう済んでいるわ。新学期が始まればすぐに出発できるから」

凛の母の声が電話越しに聞こえる。

「でも、本当に留学するつもりなの?司くんは小さい頃からずっとあなたにべったりだったのに、今になって帝大と海外で遠距離恋愛なんて、大変よ」

凛はスマホを握りしめたまま、幼い頃の司の「選び取り」の光景をふと思い出した。

一歳の誕生日、ずらりと並べられた品物には目もくれず、彼はよちよちと凛に向かって這っていき、彼女の足に抱きついて離れようとしなかった。

両家の大人たちは大笑いし、この子は物心つく前から奥さんを決めているらしいと囃し立てた。

その後も、彼は確かにずっと彼女にべったりだった。

幼稚園では絶対に彼女の隣に座りたがり、小学校では毎日放課後に彼女を待ち、中学校では彼女と同じクラスになるために学年トップの成績を取り、高校では堂々と彼氏面をして所有権を主張してきた。

両親たちも二人の仲の良さを見て、いっそ許嫁にしてしまおうと決めた。

誰もが二人は結ばれるものだと思っていた。

澪が現れるまでは。

この貧しい転校生は、毎日パサパサのコッペパンをかじり、色落ちするまで洗い込んだ制服を着ていた。

一部の生徒が彼女をからかうと、司はいつも真っ先に助け舟を出し、凛も文句を言わないどころか、時には彼女を庇うこともあった。

しかし次第に、澪は司にまとわりつくようになった。

放課後に彼の手伝いをし、バスケをしている彼にタオルや水を渡すようになった。

あの事故が起きるまでは。教室の天井から落下してきた照明器具から司を庇い、澪は肋骨を二本折り、一ヶ月も入院することになったのだ。

それ以来、司の澪に対する態度は完全に変わってしまった。

彼の澪への気遣いは日増しに増え、彼女を見つめる目はどんどん優しくなり、今では帝大の同伴推薦枠すら彼女に与えてしまった。

凛には、それが彼なりの感謝なのか、それとも恋心なのか分からなかった。

しかし、かつての彼の愛情のすべてを知っているからこそ、今更ズレてしまった愛など欲しくはなかった。

「遠距離恋愛にはならないわ」

彼女は電話の向こうに静かに言った。

「お母さん、私たちはもう別の道を歩んでいるの。この許嫁の話は白紙に戻して」

「本気なの?」

母は驚いて尋ねた。

「ええ、よく考えた末の決断よ」

電話の向こうで少し沈黙があった後、母はため息をついた。

「それもいいかもしれないわね。あなたはまだ若いし、これから先、もっと多くの人に出会うはず。あなたが海外へ発ったら、神宮寺家へ婚約解消の挨拶に行くわ」

「何を解消するって?」

背後から突然、澄んだ男の声が響いた。

凛が振り返ると、いつの間にか屋敷のドアが開き、司が玄関に立っていた。

彼は黒のマウンテンパーカーを着ており、背が高く、天性のモデル体型だった。

背後から差し込む陽光が彼の端正な輪郭を縁取る。その自信に満ちた少年の姿は、かつて凛の心を強くときめかせたものだった。

しかし今、その顔を見ても、彼女の心は凪のように静かだった。

「なんでもないわ」

凛は電話を切り、そっけなく答えた。

司もそれ以上は追及せず、笑いながら近づき、上品なドレスの入った紙袋を彼女に手渡した。

「凛、早く着替えて。これからお世話になった先生たちの謝恩会に行こう」

彼は身を乗り出し、声を少し潜めた。

「君のために、一番綺麗なやつを特別に選んだんだ」

凛は袋を受け取った。

謝恩会は前から決まっていた予定だし、海外へ行けば、先生やクラスメートと会う機会も少なくなる。

これが最後の別れだと思えばいい。

彼女は二階に上がってドレスに着替え、下へ降りていくと、すでに澪が司の車に座っていることに気づいた。

「り、凛ちゃん……」

澪はおずおずと挨拶し、不安そうにドレスの裾を指でいじった。

最も目に余ったのは、彼女が着ているドレスが凛のものと同じデザインで、ただ色が違うだけだったことだ。

司が近づいてきて弁解した。

「君のドレスを買う時、澪も着ていく服がないだろうと思って、ついでに彼女の分も買ったんだ」

彼は言葉を切り、凛の頭を撫でようと手を伸ばしながら、機嫌を取るような声を出した。

「凛、変な風に考えないでくれよ」

凛は顔を背けて避け、自嘲気味に笑った。

かつて、司はイケメンすぎるがゆえに常に女子から言い寄られていたが、彼の心には凛しかおらず、他人に目を向けることすらなかった。ましてや他の女子の着る服があるかどうかなんて細部にまで気を配るはずもなかった。

ホテルに着くと、澪は相変わらず卑屈でオドオドした態度をとっていた。

司は終始彼女の世話を焼き、料理を取り分け、飲み物を注ぎ、彼女が美味しいものを食べて目を輝かせると、彼も甘やかすように笑いかけた。

その笑顔が、凛の胸をチクチクと刺した。

「星野!乾杯しようぜ!」

何人かのクラスメートがグラスを持って集まってきた。

凛は正直、酒を飲んだことがなかったが、場を白けさせたくなくてグラスを手に取った。その瞬間、骨ばった手が彼女の手からグラスを奪い取った。

「彼女は飲めないから、俺が代わりに飲む」

司は一気に飲み干し、喉仏を上下させると、周囲から冷やかしの声が上がった。

「神宮寺、こんなに大勢が学年のマドンナと乾杯しようと思ってるんだぜ。全部お前が代わりに飲むつもりか?」

学級委員の男子がからかった。

「そんなことしたら倒れちまうぞ」

司は目元を緩め、凛を自分の後ろに庇った。

「倒れたって構うもんか。俺の嫁が一滴も飲まなくて済むならな」

皆は再び冷やかして騒ぎ立て、会場は青春特有の熱気に包まれた。

先生たちが退席した後、生徒たちはさらに羽目を外し、誰かが「真実か挑戦か」をやろうと言い出した。

最初の数回はすべて司が負けた。

一つ目の罰ゲームは、ラインのピン留めトークを見せることだった。

「凛」という文字がはっきりと見えた。

二つ目の罰ゲームは、スマホのカメラロールを見せることだった。

画面いっぱいに凛の写真が並んでいた。

机に突っ伏して眠る横顔、グラウンドを走る時に風に舞う髪、タピオカミルクティーを手にして満足そうに笑う顔。

三つ目の罰ゲームは、メモアプリを見せることだった。

そこには凛の好みがびっしりと記されていた。

パクチーが嫌い、イチゴ味のものが好き、生理の時はお腹が痛くなる、マンゴーアレルギー……さらには【凛が怒った時は、まず抱きしめてから理屈を説明すること】という恋愛マニュアルまであった。

「甘すぎる!」

女子たちは羨ましそうに地団駄を踏んだ。

「でも、二人とも別々の大学に進学するんでしょ?星野さんこんなに可愛いから、大学で誰かに奪われちゃったらどうするの?」

司は自信満々に笑った。

「誰が俺の女を奪えるって?それに、俺は凛のために帝大の近くの大学を出願しておいたんだ。ずっと俺の目の届くところにいる。なっ」

凛の口角に苦笑が浮かんだ。

本来ならそのはずだったが、今や彼女の志望校は澪によって遥か遠くの短大に書き換えられてしまっている。

凛が視線を上げて隅にいる澪を見ると、澪の顔色は一瞬で蒼白になり、緊張で指を固く結び合わせていた。

凛は思わず呆れてしまった。

そんなにバレるのが怖いなら、最初からあんなことしなければよかったのに。

凛が口を開きかけた時、次のゲームで心ここにあらずだった澪が負けてしまい、罰ゲームは「左隣の男子にキスをする」ことに決まった。

不運なことに、左隣に座っていたのは、クラスでも冴えないことで有名な男子だった。

澪は一瞬で涙目になり、小さな声で別の罰ゲームに変えられないかと懇願したが、周囲に容赦なく却下された。

「だめだ、ルールはルール!絶対キスしろ!」

澪は目を閉じ、震えながら顔を近づけた。

あと少しで唇が触れそうになった瞬間、司が突然立ち上がってその男子を突き飛ばし、自ら澪の唇を塞いだ。

「息をして」

彼は低い声で注意した。

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