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第6話

Penulis: 火鍋ルル
詩織はただ笑うだけで、頷きも首を横に振りもしなかった。

どうせ彰人の心の中ではもう決まっているのだから、彼女の態度など重要ではない。

それに子供のこと......

子供はとっくにいなくなっているのに、彼はまだ知らない。

感謝の印として、紗雪は詩織と彰人を食事に誘った。予約したレストランに着き、料理がちょうど運ばれてきたところで、また彰人の携帯が鳴った。

彰人は詩織に携帯を示し、立ち上がると別の方向へ歩いて行った。「先に食べていてくれ。ちょっと電話に出てくる」

詩織は静かに食事をしたかっただけなのに、紗雪は彼女の思い通りにさせたくないようだった。

うつむいて黙々と食事をする詩織を見て、紗雪は突然口を開いた。「ほらね、たとえ彼があなたにプレゼントしたものでも、私が欲しがれば、彼はやっぱり私にくれるのよ」

「お嬢ちゃん、まだ諦めないの?今、物分かりよく自分で子供を堕ろして出て行けば、まだ少しは体面を保てるわ。もし、彰人さんがあなたに飽きて追い出すのを待つつもりなら、その日には、あなたは社交界の笑いものになるわよ」

詩織は眉をひそめ、ただ紗雪がやかましいと感じた。

彼女には理解できなかった。相手に家庭があると知りながら、どうしてまだしつこく付きまとい、相手の配偶者に対してあんな大口を叩けるのだろうか?

「もう言い終わった?」詩織はようやく顔を上げたが、その反応は紗雪が想像していたものとは全く違っていた。

悲しみも、悔しさも、怒りさえもなかった。

彼女は少し不満で、何か言おうとした瞬間、視界の隅に戻ってくる彰人の姿をを捉え、それまでの傲慢な表情が一変した。テーブルの上の熱いスープを手に取り、自分の体に向かってぶちまけた。

「きゃっ!」

彰人が響き渡った悲鳴を聞いて慌てて駆けつけ、紗雪のそばに来た。彼女もタイミングよく彼の腕の中に倒れ込み、彼にしっかりと受け止められた。

そして、紗雪は顔を上げ、目に涙をいっぱいためて、顔には悔しさが満ちていた。

「彰人さん、詩織さんを責めないで。あの別荘を譲ってくれたから、詩織さんが腹を立てるのも無理はないわ」

悔しさを押し殺したような声と、その可哀想な表情は、瞬く間に彰人の心を痛ませた。その時になって初めて、詩織はようやく立ち上がり、まっすぐ彼を見つめた。「私じゃない。私が彼女にかけたわけじゃない」

「詩織、いくら不満でも、手を出して人を傷つけるべきじゃない!」

彰人の目には明らかに不信感が宿っていた。しかし、紗雪の青ざめた顔色を見て、これ以上説教する余裕もなく、紗雪を抱き上げると急いで立ち去った。

詩織は病院へは行かず、一人で家に帰った。彰人が帰ってきたのはもうかなり遅い時間だった。彼女と会う時、珍しく冷たい顔をしていたが、それでも辛抱強く彼女に折れるよう説得した。

「紗雪は重度の火傷だ。君は謝りに行くべきだ」

しかし詩織は頑固に首を横に振り、ただその一言を繰り返すだけだった。「私はかけていないし、謝りにも行かない」

彰人はこめかみを押さえ、ついに我慢できずに二言三言、非難した。

「君はあまりにもわがままだ。紗雪は結局、僕の友達なんだ......」

果たして友達なのか、それとも想い人なのか?

詩織はじっと彼を見つめ、口から出かかった言葉をまた飲み込んだ。「信じないなら、監視カメラを確認すればいい」

彰人は彼女が子供っぽいのだけだと思い、もうそれ以上説得するのをやめ、直接彼女の手を引いてドアの方向へ向かおうとした。

彼が直接病院へ連れて行って謝らせようとしているのが分かった。しかし、していないことに対して、どうして謝らなければならないのか?

詩織は必死にもがき、彼が掴んでいる手を振り払おうとした。もがくうちに彰人は手を離したが、詩織はバランスを崩してまっすぐ後ろに倒れ込んだ。

ドン!

詩織の額がテーブルの角に強く打ち付けられ、一瞬にして血がどっと流れ出した。激しい痛みの中で、彼女はただ何かが自分の額から滑り落ち、視界を遮り、一面の真っ赤な色だけを残したように感じた。

「詩織!」

彰人はこんなことが起こるとは思っておらず、動揺して慌てて彼女を抱き上げて家を出て車に乗せ、病院へと急行した。
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